松本零士氏の不朽の名作『銀河鉄道999』。少年・星野鉄郎と謎の美女メーテルが、機械の体を手に入れるため、銀河超特急999号で果てしない宇宙を旅する物語です。様々な星々で繰り広げられる出会いと別れ、そしてそこで起こる様々な出来事は、実は現代社会にも通じる問題を多く含んでいるのです。今回は、『銀河鉄道999』が予見していたかのような、現代日本と驚くほどリンクするエピソードを深掘りしていきます。
## 運動不足で肥満化?「怠け者の鏡」の教訓
現代社会の大きな問題の一つ、肥満。運動不足による肥満をテーマにしたエピソードが、コミックス4巻「怠け者の鏡」です。999号が到着した星は、全てが機械化され快適な暮らしが約束されているはずなのに、人の気配がありません。鉄郎が住宅街を訪ねると、ドアを開けた途端、何かブヨブヨしたものに跳ね飛ばされます。なんと、それは住人の肥大化した膝だったのです!この星の住人は、あまりの快適さに体を動かすことを忘れ、家すら壊してしまうほど巨大化していました。
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もちろん、現実に家が壊れるほど肥満になることはありません。しかし、運動不足による肥満は、現代社会における深刻な問題です。デスクワーク中心の生活やスマートフォンの普及など、便利な世の中になるにつれ、私たちは体を動かす機会が減っています。「怠け者の鏡」は、まさに現代人の生活を映し出す鏡と言えるでしょう。健康管理士の山田花子さんは「運動不足は肥満だけでなく、様々な生活習慣病のリスクを高めます。1日30分程度の軽い運動を心がけることが大切です」と警鐘を鳴らしています。
## 若者の夢を阻む嫉妬心「ヤーヤボールの小さな世界」の警鐘
コミックス11巻「ヤーヤボールの小さな世界」では、若者への嫉妬心を抱く大人の末路が描かれています。地球に似た小さな星で、鉄郎はヤーヤボールという男から過剰な歓迎を受けますが、直後、地下室に閉じ込められてしまいます。ヤーヤボールは、鉄郎が持つ大きな夢と、自分より良い機械の体を得る可能性に嫉妬していたのです。「僕にできなかったことをする人間がいるのが気にくわないんだ!!」と叫ぶヤーヤボールの姿は、若者の成功を素直に喜べない一部の大人たちの姿を投影しているかのようです。
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嫉妬は誰しもが持つ感情ですが、それを若者の成長の妨げにしてはいけません。教育評論家の佐藤一郎氏は「大人は過去の苦労を語るのではなく、未来を担う若者の夢を応援する存在であるべき」と指摘しています。ヤーヤボールの物語は、嫉妬に囚われた人間の醜さと、若者の可能性を信じることの大切さを教えてくれます。
『銀河鉄道999』は、単なるSF冒険物語ではなく、人間の本質や社会問題を鋭く描いた作品です。これらのエピソードは、現代社会を生きる私たちへの警鐘であり、より良い未来を築くためのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。