韓国経済の雇用不安:内需不振が直撃、未来への懸念高まる

韓国経済の雇用市場に暗雲が立ち込めています。内需の低迷が雇用情勢を悪化させ、先行きの不安を増大させているのです。この記事では、韓国の雇用市場の現状と課題、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

減速する雇用増加、不安定な自営業

韓国統計庁の発表によると、2024年1-3月期の就業者数の増加は前年同期比46万5000人。一見すると増加しているように見えますが、その内実は不安定です。増加の多くは政府支出によるケア事業や高齢者雇用といった分野に集中しており、民間部門の雇用創出力は明らかに低下しています。製造業や建設業といった景気敏感業種の就業者数は大幅に減少しており、経済の弱さを示唆しています。

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自営業の状況も深刻です。宿泊・飲食店業の生産指数は低迷を続け、2000年以降で最長の不況に陥っています。高物価や利子負担の増加による消費の冷え込みが、売り上げ減少と雇用減少の悪循環を生み出しているのです。特に、雇用者がいない1人企業の増加は、経済の脆弱性を示す worrying な兆候と言えるでしょう。配達員を含む輸送・倉庫業の就業者数も減少に転じており、消費低迷の影響が幅広い業種に及んでいることが分かります。

希望退職の波、新規採用も縮小傾向

企業の動きも鈍化しています。現代製鉄やSKシグネットといった大手企業が希望退職を募るなど、人材構造調整の動きが広がっています。内需に敏感な流通業界でも同様の動きが見られ、雇用市場の冷え込みを裏付けています。

韓国経営者総協会の調査によると、2024年の新規採用計画を持つ企業の割合は60.8%と、前年からさらに低下しています。採用規模を拡大する企業もわずか13.8%にとどまっており、企業の慎重姿勢が鮮明になっています。

雇用鈍化の悪循環、政府の対応は?

雇用は景気の後行指標であり、経済の現状を反映する重要な指標です。現在の雇用鈍化は、内需不振に加え、輸出の鈍化懸念も影響していると考えられます。家計所得の減少は消費のさらなる冷え込みにつながり、経済の悪循環に陥るリスクが高まっています。

韓国政府は10兆ウォン規模の追加補正予算を編成し、景気対策に乗り出していますが、その効果はまだ不透明です。専門家からは、自営業支援やAI分野への投資など、雇用創出に重点を置いた対策が必要との声が上がっています。

専門家の見解

韓国経済産業研究院のキム・グァンソク経済研究室長は、「財政は景気浮揚効果が大きいところに集中するべき」と指摘し、特に苦境に立たされている自営業への支援の必要性を強調しています。また、漢城大学のキム・サンボン教授は、追加補正予算に含まれるAI競争力強化策についても、雇用創出を重視した投資を行うべきだと提言しています。

厳しい状況続く韓国経済、未来への展望は

韓国経済は、内需不振、輸出鈍化、雇用悪化という三重苦に直面しています。政府の対策も功を奏するかどうかは不透明であり、今後の経済動向には予断を許しません。持続的な成長を実現するためには、構造改革やイノベーション促進など、抜本的な対策が必要となるでしょう。韓国経済の未来は、正念場を迎えています。