【密漁の実態】生活苦か、海の異変か?クロマグロ闇売りの背景に迫る

近年、国際的な漁獲制限が設けられているクロマグロの密漁が問題となっています。宮城県気仙沼市のベテラン漁師がクロマグロ9.5トンを無報告で水産会社に販売した事件。その背景には、生活苦だけでなく、急激な海の環境変化があるというのです。今回は、この事件を通して、日本の漁業が直面する現実と、密漁に手を染めてしまう漁師の苦悩に迫ります。

漁師を追い詰めるクロマグロ密漁の闇

2024年9月、宮城県気仙沼市の75歳の漁師が、漁業法違反の疑いで書類送検されました。容疑は、約9.5トンものクロマグロの漁獲量を国に報告しなかったというもの。一体なぜ、ベテラン漁師がこのような違法行為に手を染めてしまったのでしょうか?

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漁獲量報告義務と資源保護のジレンマ

クロマグロは、資源保護のため国際的な漁獲枠が定められており、漁師は漁獲量を国に報告する義務があります。しかし、今回摘発された漁師は、その義務を怠り、密漁したクロマグロを水産会社に販売していました。漁師は「生活のためだった」と供述していますが、その背景には、日本の漁業を取り巻く厳しい現実が隠されています。

海の異変:ベテラン漁師が語る環境変化の実態

15歳から漁師として生きてきたこの男性は、近年の海の変化を肌で感じていました。温暖化の影響で海水温が上昇し、これまで漁獲できていた魚がとれなくなり、代わりに大量のクロマグロが網にかかるようになったというのです。「海一面マグロだらけだ」と語る漁師の言葉は、海の生態系の変化を如実に物語っています。

生活苦か、環境変化か?密漁に手を染める漁師の苦悩

「マグロをとらなかったら生活ができない」と語る漁師。これまで流し網漁で生計を立ててきましたが、獲れる魚の種類が激変し、生活は困窮を極めていたといいます。水産庁の資料によると、日本の漁獲量は年々減少傾向にあり、漁師の高齢化も深刻な問題となっています。

食卓に並ぶマグロを守るため、水産資源の管理は不可欠です。しかし、同時に漁師の生活も守らなければなりません。 東京海洋大学の佐々木教授(仮名)は、「持続可能な漁業を実現するためには、漁獲規制だけでなく、漁師への経済的支援や、新たな漁業資源の開発など、多角的な対策が必要だ」と指摘しています。

密漁問題解決への道筋

この事件は、日本の漁業が抱える複雑な問題を浮き彫りにしました。資源保護と漁師の生活、この両立こそが、持続可能な漁業への鍵となるのではないでしょうか。 消費者も、海の現状を理解し、適切な魚を選ぶことで、持続可能な漁業に貢献することができます。