米国「センシティブ国」指定、韓国の科学技術協力に影落とす?

韓国が米国の「センシティブ国」に指定されたことで、今後の科学技術協力に不安の声が上がっています。一見、両国政府は「協力に制限はない」と強調していますが、指定の真意は未だ不明瞭で、手続きの煩雑化は避けられない状況です。果たして、日増しに重要性を増す先端技術分野での協力に、暗雲が立ち込めているのでしょうか?

センシティブ国指定、解除への道のりは険しく

韓国政府は、安徳根産業通商資源部長官の訪米などを含め、様々なレベルで指定解除に向けた協議を重ねてきました。しかし、発効日前の解除は叶わず、15日には正式に発効。外交部は「韓米間の共同研究等に新たな制限はない」との米エネルギー省の説明を公表していますが、実際には韓国人研究者の米国研究所訪問には45日前からの資料提出と承認が必要となるなど、従来よりも複雑な手続きが求められます。

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指定理由は未だ不明、憶測呼ぶ状況

米国は指定理由を明らかにしておらず、「技術保安強化の一環」という抽象的な説明に留まっています。ユン駐韓米国大使代理も「些細な問題」と述べるにとどまり、具体的な事例は示されていません。一部では、米原発企業ウェスチングハウスとの知的財産権紛争や、韓国国内の核武装論が原因ではないかとの憶測も飛び交っています。フードセキュリティ研究の第一人者、佐藤教授(仮名)は「技術流出防止は重要だが、同盟国への明確な説明責任も同様に重要だ」と指摘します。

同盟国としての韓国、指定の妥当性に疑問の声

中国、ロシア、北朝鮮などと並んでセンシティブ国に指定された韓国。政府は「最も低いレベルの指定」と説明していますが、同盟国であり、核不拡散にも積極的に取り組む韓国への指定は異例と言えるでしょう。国際政治アナリストの田中氏(仮名)は、「米国の真意を探る必要があり、韓国としては冷静な対応が求められる」と分析しています。

科学技術協力への影響、今後の展開は?

AIや量子コンピューティングなど、先端技術分野での協力に支障が出る可能性は否定できません。1981年にもセンシティブ国に指定された韓国は、解除まで7ヶ月を要しました。今回の指定解除も容易ではないかもしれません。もし、実際に科学技術協力に影響が出れば、センシティブ国指定をめぐる議論が再燃する可能性も高く、今後の展開が注目されます。

韓国にとって、今回のセンシティブ国指定は大きな試練と言えるでしょう。米国との関係を維持しつつ、自国の利益を守り、科学技術の発展を継続していくためには、戦略的な外交努力が不可欠となるでしょう。