萩生田光一文部科学相は1日、2020年度開始の大学入学共通テストへの英語民間試験導入延期を発表した。野党は大学入試改革を政争の具にしようとしている。
〈立憲民主党の安住淳国対委員長は6日、英語民間検定試験の導入が見送られた大学入試共通テストをめぐり、国語の記述式問題の導入についても「受験改革というより改悪だ」として同日の衆院予算委員会などで追及する考えを示した。国会内で記者団に語った。国語の記述式問題をめぐっては、高校生らから採点の公平性について疑問が上がっているほか、受験生が自己採点することが困難だとの不安の声も出ている。
5日の衆院文部科学委員会では、大学入試センターから採点を請け負うベネッセコーポレーションが、学生やアルバイトを含むスタッフが採点を担う可能性があると説明。安住氏は「英語以上に大きな問題だ。厳しく追及する」と強調した。また安住氏は、英語民間検定試験について「中止して、公平性が担保される制度を考えるべきだ」と指摘。「身の丈」発言をした萩生田光一文部科学相に関しては「混乱を招いた責任を追及する」と語った〉(6日の産経ニュース)。
野党には20年度から始まる大学入試改革の本質を理解しようとする姿勢に欠ける。菅原一秀経済産業相、河井克行法相が疑惑で辞任に追い込まれたので、安倍晋三首相に近い萩生田氏を標的にして政権に打撃を与えようという野党の思惑が露骨に現れている。不誠実な対応だ。現行の大学入試センター試験は全問がマークシートの選択式で、これでは受験生の思考力を測りにくい。だから数学と国語に一部、記述式問題を導入したのだ。この対策で高校では数学の証明、小論文などに力を入れるようになっている。この方向性は正しい。民間のアルバイトによってなされるとしても、公平に採点されるならば問題は何もない。
英語に関しても「読む・聞く・書く・話す」の4能力をバランス良く教育するという改革の方向性は正しい。ただし、技術的な落とし込みが不十分だった。「書く・話す」能力を測る試験にはマンパワーが必要だ。大学入試センターに十分な予算と定員をつければ、単一の英語新試験を作ることはできたと思う。しかし、その環境が整わないので、民間に委託することになったのだろう。