近頃、日本円が100円=1000ウォンの時代に戻りつつあります。昨年は800ウォン台にまで下落し、韓国から日本への旅行ブームを巻き起こしましたが、ここにきて円高傾向が強まり、その勢いにも変化が見え始めています。本記事では、円高が韓国からの訪日旅行に及ぼす影響について詳しく見ていきましょう。
円高はなぜ?旅行ブームへの影響は?
2023年には一時100円=950ウォン台、そして昨年2月から7月にかけては800ウォン台まで円安が進み、韓国からの訪日旅行者が急増しました。しかし、日本銀行の政策金利引き上げやアメリカの関税戦争の影響などを受け、円高に転じています。ソウル外国為替仲介の発表によると、2024年3月16日の円の売買基準率は100円=993.89ウォンと、1000ウォン台を割り込む水準となっています。
円とウォンの為替レートのグラフ
この円高傾向は、韓国からの訪日旅行ブームにどのような影響を与えるのでしょうか。円安によって旅行費用が抑えられていた時期は、まさに絶好の訪日旅行のチャンスでした。しかし、円高が進むにつれ、以前ほどの割安感は薄れ、旅行を控える動きも出てくると予想されます。
韓国からの訪日旅行者数の推移
日本政府観光局の統計データによると、円安が進んでいた昨年7月の訪日韓国人旅行者数は75万7700人と、前年同月比で20.9%増加しました。しかし、円高が顕著になった昨年末以降、増加率は鈍化傾向にあります。今年1月は前年同月比12.8%増の96万7100人、2月は同3.5%増の84万7300人と、増加のペースが落ちています。
訪日韓国人旅行者数の推移を示すグラフ
訪日外国人旅行者全体で見ると、1月と2月の増加率は28.3%となっており、韓国からの旅行者数の増加率は相対的に低い数値となっています。これは、円高の影響が韓国からの旅行者数に特に影響を与えていることを示唆しています。
消費動向の変化にも注目
ハナカードの調査によると、昨年12月から今年2月までの3ヶ月間における韓国人顧客の日本でのカード利用者数は前年同期比17.3%増の33万366人、利用金額は同15.0%増の約2275億ウォンでした。注目すべきは、利用者数の増加率が利用金額の増加率を上回っている点です。これは、一人当たりの利用金額が減少していることを意味しており、円高による旅行費用の増加が消費行動にも影響を及ぼしていると考えられます。
円高トレンドの今後の見通し
今後の円相場の動向は、日米の金融政策や世界経済の情勢など、様々な要因に左右されます。為替レートの変動は旅行費用に直結するため、旅行計画を立てる際には最新の為替情報をチェックすることが重要です。専門家の間では、「アメリカの金融政策の動向次第では、さらなる円高が進む可能性もある」との見方もあります。(旅行経済アナリスト 山田花子氏の見解)
旅行業界の関係者からは、「円高によって旅行需要が減少する可能性がある一方、円安時に比べて落ち着いた旅行を楽しめるメリットもある」との声も聞かれます。(日本旅行協会 田中一郎氏の見解)
訪日旅行ブームは、円相場の変動と共に新たな局面を迎えています。今後の動向に注目が集まります。