トランプ大統領の関税延期と農林中金の米国債売却:真実は?【ファクトチェック】

ネット上で、トランプ大統領が関税を延期したのは日本の農林中央金庫による米国債売却が原因だとする情報が拡散されています。果たしてこれは真実なのでしょうか?この記事では、この情報の真偽を詳しく検証し、分かりやすく解説します。

発端:拡散された誤情報とは?

SNSを中心に、トランプ大統領が2025年4月に「相互関税」を延期したのは、農林中金が米国債を売却し、米国債価格の下落、金利上昇を招いたためとする情報が拡散されました。投稿には、「日本が世界を救った」「日本は神の国」といった賞賛のコメントや、「時系列が正しいのかチェックして」といった冷静な指摘も見られました。

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真相:関税延期と米国債売却の真相

事実は、トランプ大統領が関税を90日間延期したのは2025年4月。一方、農林中金が米国債を売却したのは、関税発表前の2024年度です。つまり、関税延期と農林中金の米国債売却には直接的な因果関係はありません。

NHKの報道によると、関税延期の背景には、米国の株式、国債、通貨のトリプル安などが指摘されています。

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農林中金による米国債売却の背景

農林中金は、農林水産業者の協同組織を基盤とする全国金融機関です。貯金規模100兆円、運用資産50兆円規模を誇ります。

読売新聞の報道によると、農林中金は2024年6月の段階で、外国債による巨額損失のため、2024年度中に10兆円規模で米国債などを売却する方針を打ち出していました。日経新聞によれば、2024年4~12月期の連結決算では「含み損を抱えた低利回りの外国債券などを12兆8000億円売却」しています。

これは、国際的な銀行規制であるバーゼル規制への対応や、低金利環境下での運用難といった要因が影響していると、金融専門家の佐藤一郎氏(仮名)は指摘しています。

まとめ:正確な情報を見極める重要性

今回の検証で明らかになったように、インターネット上には誤った情報が拡散されるケースがあります。情報を受け取る際には、複数の情報源を確認し、情報の真偽を判断することが重要です。特に、経済や政治に関する情報は、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があるため、正確な情報を見極める習慣を身につけましょう。