ロシアとウクライナの和平交渉におけるアメリカの仲介役の行方が、風雲急を告げています。米国務長官アントニー・ブリンケン氏は、交渉の進展が見られない場合、今後数日以内に仲介を打ち切る可能性を示唆しました。
ブリンケン国務長官、交渉期限を強調
フランスを訪問中のブリンケン国務長官は、ウクライナ情勢に関する協議後、記者団に対し、和平交渉の進展について厳しい見方を示しました。「この努力を何週間、何か月と続けるつもりはない。数週間以内に、いや数日以内に判断する必要がある」と述べ、ロシアとウクライナ双方、あるいはどちらか一方に和平の意思がなければ、アメリカは仲介を継続しない考えを明らかにしました。
ブリンケン国務長官
ブリンケン氏は同時に、「両国、もしくは片方だけでも真剣に和平を望むのであれば、我々は支援したい」とも語り、仲介継続への条件を提示しました。この発言は、膠着状態にある和平交渉を打開するための、アメリカからの強いメッセージと言えるでしょう。
ロシア、エネルギー施設攻撃停止合意の期限切れを主張
一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、先月アメリカ仲介で合意したエネルギー施設への攻撃停止について、期限が切れたとの認識を示しました。プーチン大統領からの新たな指示は出ていないとしており、今後の動向が懸念されます。
プーチン大統領
この合意は、トランプ前政権下で成立し、全面停戦への足掛かりとして期待されていましたが、現状ではその道筋は見通せない状況です。国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「ロシア側のこの発言は、和平交渉への圧力、ひいてはアメリカへの牽制とも取れる」と分析しています。
和平への道のりは険しい
アメリカによる仲介期限の設定、そしてロシアによる合意期限切れの主張。これらの動きは、ウクライナ和平への道のりが依然として険しいことを示唆しています。今後の数日間、両国の動向、そしてアメリカの対応に、世界の注目が集まることになりそうです。