韓国電気自動車市場、低迷脱却ならず:補助金効果も持続せず、長期不況の懸念

韓国の電気自動車(EV)市場は、政府の補助金政策やメーカーの値引きキャンペーンにもかかわらず、低迷から抜け出せずにいます。一時的な需要停滞ではなく、長期不況に陥る可能性も懸念されています。この記事では、韓国EV市場の現状と今後の見通しについて詳しく解説します。

補助金効果も限定的、販売台数は減少傾向

3月の韓国におけるEV販売台数は、前年同月比7.5%減の1万8708台にとどまりました。2月に前年同月比295.7%増と大幅な伸びを見せたものの、補助金支給開始とメーカーの割引プロモーションによる一時的な効果に過ぎなかった可能性が指摘されています。

新車投入も販売不振、先行購入後の反動減も懸念

起亜の新型EV「EV3」や軽自動車タイプの「キャスパーEV」も販売目標を下回るなど、新車投入によるテコ入れ効果も限定的です。韓国産業研究院のチョ・チョル選任研究委員は、「補助金支給による先行購入が一巡した後、4月以降は販売台数がさらに減少する可能性がある」と指摘し、EV市場の長期沈滞を懸念しています。

altalt

世界的なEV市場の成長とは対照的に、韓国のEV輸出は減少

1-3月期の韓国EV輸出は、前年同期比21.7%減の6万3933台と低迷しています。一方、世界のEV市場は成長を続けており、同時期の販売台数は前年同期比29%増の170万台に達しました。中国、欧州、米国など主要市場がいずれも成長している中、韓国のEV輸出は減少しており、現地生産による輸出代替効果や中国製EVとの競争激化などが原因とみられています。

国内生産にも影響、現代自動車は生産ラインを一時停止

EVの販売不振は国内生産にも影響を与えており、現代自動車は「アイオニック5」と「コナEV」を生産する蔚山工場の生産ラインを一時停止しました。アイオニック5とコナEVの1-3月期の販売台数は前年同期比でそれぞれ58.7%、14.9%減少しています。

ハイブリッドカーは輸出好調、EVとの明暗が分かれる

一方、ハイブリッドカー(HV)の輸出は好調で、1-3月期の輸出台数は前年同期比39.4%増の11万7417台となりました。多様な車種展開と価格競争力の高さが輸出増加の要因と分析されています。

中国製EVの値下げ攻勢、韓国メーカーの収益性悪化も懸念

韓国自動車研究院のイ・ハング諮問委員は、中国製EVの値下げ攻勢により、韓国メーカーは販売台数を増やしても収益性を確保することが難しくなると指摘しています。EV市場の需要低迷が解消されたとしても、韓国メーカーにとって厳しい状況が続く可能性があります。

韓国EV市場の未来は?

韓国EV市場は、補助金効果の薄れや世界的な競争激化など、多くの課題に直面しています。今後の市場動向を注視していく必要があります。