参政党、候補者のスプートニク出演巡り対ロシア関係を否定 – 参院選前の波紋

20日投開票の参議院選挙を前に、支持率を急激に伸ばしている参政党が、公認候補者の一人がロシアの政府系通信社スプートニクのインタビューに応じたことを受け、ロシアとの特別な関係を否定する声明を発表しました。このスプートニク出演を巡る騒動は、SNS上で参政党が親ロシア派であるとの憶測を呼び、同党は「バランス外交」を強調して誤解を払拭しようと努めています。

参政党の急伸と「日本人ファースト」政策

日本の政治は長らく中道右派の自民党が支配しており、ポピュリズム勢力はこれまで非主流派に留まってきました。しかし、右派の新興政党である参政党は、グローバリズム、移民、外国資本への反対を掲げた扇動的な「日本人ファースト」政策を打ち出し、急速に勢いを増しています。最新の世論調査では、石破茂首相率いる自民・公明両党の連立政権が過半数割れとなる可能性も指摘される中、参政党は非改選議席を含む現在の2議席から、10議席以上に大きく躍進する可能性が報じられています。

スプートニク出演の経緯と党首の釈明

参政党に関する今回の論争は、東京都選挙区に立候補した新人・さや氏が、スプートニクのインタビューに応じ、その内容が7月14日に同通信社の日本語版X(旧ツイッター)アカウントで公開されたことから始まりました。さや氏の突然のスプートニク出演は混乱を巻き起こし、ソーシャルメディア上では参政党が親ロシア派なのではないかとの憶測が飛び交いました。これに対し、参政党の神谷宗幣代表は7月15日、ネットニュース番組に出演し、ロシアとの特別な関係を強く否定。「ロシアとも中国とも米国とも特にない。どこの国とも均衡外交だ」と強調し、「スプートニクに出たから親ロ派はあまりに短絡的だ」と指摘しました。神谷代表は、さや氏のスプートニク出演について、権限のない職員が党本部に相談することなく出演を許可した「人的ミス」であると釈明し、党としての意図的なものではないと説明しました。

東京都内の日本記者クラブで開催された党首討論会で、参政党の神谷宗幣代表が自党の政策について発言している様子。東京都内の日本記者クラブで開催された党首討論会で、参政党の神谷宗幣代表が自党の政策について発言している様子。

ウクライナ侵攻への見解と「影響工作」への警戒

神谷代表は、ロシアによるウクライナ侵攻に対する自身の見解についても言及。「良くないが、ロシアを追い込んだ勢力も米国の中にいる。その背景もフラットに見ないと、ロシアだけ100%悪いというのは公平ではない」と述べました。この発言が、一部で親ロシア的なものと受け取られ、「そう言ったら、お前らは親ロ派だみたいな話が始まった」と説明しました。国内メディアによると、青木一彦官房副長官は7月16日の記者会見で、今回の件を直接的に名指しはしなかったものの、「わが国も(外国勢力による)影響工作の対象になっている」と述べ、警戒感を示しました。

ロシア国営メディアの規制と背景

スプートニクなどのロシア国営メディアは、過去に「偽情報と情報操作」を理由に欧州連合(EU)で放送が禁止されており、米国による制裁の対象にもなっています。このような背景を持つメディアに日本の政党の候補者が出演したことが、今回の騒動の要因の一つとなっています。

参議院選挙が迫る中、参政党は候補者のスプートニク出演を巡る疑惑と、それに対する党の説明責任という課題に直面しています。党が掲げる「バランス外交」の姿勢と、国内外の複雑なメディア情勢が絡み合う中で、有権者の判断が注目されます。


出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/1ee5fb9efd204fed2b160cf308a0969da4a28d7e