台風19号で甚大な被害を受けた栃木県栃木市で、中心部の巴波川(うずまがわ)沿いにさまざまなデザインを施した竹筒の明かりをともす「うずまの竹あかり」が始まった。竹あかりを製作している県立栃木工業高校(同市岩出町)も被災し、生徒らが手作りした竹あかりが流されるなど実施が危ぶまれたが、生徒たちの「復興のあかりに」との強い思いで開催にこぎつけた。(松沢真美)
竹あかりは冬の巴波川の新たな風物詩にしようと、NPO法人「蔵の街遊覧船」の船頭らが5年前から始めた。平成28年からは同高の生徒たちや地元の小中学生も協力。常盤橋から巴波川橋までの左岸約500メートルに、花火や花などの模様を彫り中に発光ダイオード(LED)をともした竹筒を飾り、幻想的に彩っている。
同高では3年生が課題研究として市内の小中学生にも指導するなどして製作。夏頃から作業を始め、台風19号襲来前に完成させて保管していた。しかし、10月12日の台風19号の影響で同高近くを流れる永野川が決壊し、大量の土砂が流入。保管していた実習室も浸水し、作品は流されて泥まみれになった。
それでも生徒たちは土砂の中から拾い出し、洗浄、点検するなど設置に向けて奮闘。破損した物は作り直し23本を完成させ、今月15日の点灯式にこぎ着けた。当初予定から2週間遅れのスタートとなったが、船頭たちも製作を進め計74本をともした。例年は108本のため、これからも随時増やしていく予定だ。
同高電子科3年の宇賀持(うがもち)桃香さん(18)は「小中学生が一生懸命作った思いを大切にしたかった」と明かりをみつめた。主催の「開運・幸来(こうらい)あかり委員会」の森田裕男(やすお)委員長は「遊覧船再開までまだ時間がかかるが、先行して竹あかりをともすことができた。復興に向け心のともしびになったらと」と願い、同高の須釜喜一校長も「生徒たちが取り組んだ竹あかりが、地域の人たちに元気を与えてくれると信じている」と話した。
点灯は午後5~10時。2月29日まで。問い合わせは同市観光振興課(0282・21・2374)。