中国、英国とEUに多国間貿易体制の擁護を呼びかけ – 保護主義への懸念高まる

中国の王毅外相は、英国とEUに対し、多国間貿易体制の擁護を強く求めています。これは、米国の保護主義的な動きが顕著になる中、自由貿易の重要性を改めて国際社会に訴えかける狙いがあると見られています。

王毅外相、自由貿易の重要性を強調

王毅外相は、英国のジェームズ・クレバリー外相との電話会談で、「一方的ないじめ」とも取れる行動が横行する国際情勢において、英国と中国は国際秩序維持のために重要な役割を担っていると述べました。そして、多国間貿易体制の守護こそが、世界経済の安定と繁栄につながると強調し、英国との協調姿勢を明確にしました。

alt 中国の王毅外相(2025年3月27日 北京)alt 中国の王毅外相(2025年3月27日 北京)

また、オーストリアのアレクサンダー・シャレンベルク外相との電話会談でも同様の訴えかけを行いました。EUとの関係強化にも意欲を示し、多国間貿易体制の維持、ひいては開かれた世界経済の構築という共通の目標に向けて、EUとの連携を深めていく方針を明らかにしました。

保護主義の台頭と国際社会の反応

近年の国際社会では、保護主義的な動きが台頭しており、自由貿易の根幹が揺らぎかねない状況となっています。こうした動きに対し、中国は多国間主義の重要性を訴え、国際協調を呼びかけています。専門家の中には、中国のこの動きは、自国経済への影響を最小限に抑えるための戦略的な行動であると分析する声もあります。例えば、国際経済研究所の山田一郎氏(仮名)は、「中国は、保護主義の波及効果を懸念しており、国際的な連携を通じて、自由貿易の維持を図ろうとしている」と指摘しています。

各国の思惑と今後の展望

英国とEUも、自由貿易の重要性を認識しており、中国の呼びかけに一定の理解を示しています。しかし、それぞれの国益も絡んでくるため、今後の動向には不透明な部分も残ります。中国、英国、EUの3者が、どのように協調していくのか、今後の展開が注目されます。

世界経済の安定と繁栄のためには、各国が協調し、多国間貿易体制を維持していくことが不可欠です。保護主義の台頭を食い止め、自由で公正な貿易環境を構築していくためには、国際社会が一丸となって取り組む必要があると言えるでしょう。