知床半島沖で発生した痛ましい観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故から3年が経ちました。26名もの尊い命が犠牲となったこの事故は、今もなお多くの人々の心に深い傷跡を残しています。2025年4月23日、カズワンが出港した斜里町ウトロで追悼式が執り行われ、犠牲者の方々のご冥福が祈られました。
犠牲者家族、町民らが追悼
全国各地から犠牲者のご家族がウトロに集まり、深い悲しみに包まれながら式典に参列しました。会場には献花台が設置され、町民や関係者らが白い花を手向け、静かに祈りを捧げる姿が見られました。
知床観光船沈没事故の追悼式で献花台に花を手向ける参列者
事故で長男の小柳宝大さん(当時34歳)を失い、今もなお行方不明となっている福岡県久留米市の男性(66歳)は、「息子はまだ見つかっていません。今日は、船に乗っていて亡くなられた方々の冥福を祈りたい」と沈痛な面持ちで語りました。
運航会社社長は3年連続で欠席
カズワンの運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長は、今年も追悼式に姿を現しませんでした。2023年、2024年は献花のみが行われていましたが、今年はそれもありませんでした。社長の欠席は、遺族や関係者にとって更なる悲しみと無念さを募らせる結果となりました。
専門家の見解
観光危機管理に詳しい立教大学の玉川大学観光学部教授(仮名)は、「運航会社社長の欠席は、遺族感情を逆なでする行為であり、企業としての責任を果たしているとは言えません。事故の真相究明と再発防止に向けた真摯な対応が求められます」と指摘しています。
事故の記憶を風化させないために
3年という月日が流れましたが、事故の記憶を風化させることなく、教訓として後世に伝えていくことが重要です。安全な観光を実現するためには、関係者全員が責任を自覚し、継続的な努力を続けていく必要があります。
札幌地裁に入る知床遊覧船の桂田精一社長
この事故を教訓に、観光業界全体が安全対策を強化し、二度とこのような悲劇が起こらないように願うばかりです。