教皇フランシスコの逝去を受け、世界のカトリック信徒約14億人の頂点に立つ次期教皇を決めるコンクラーベが5月上旬に開催される見込みです。果たして、誰が選ばれるのか、世界中から熱い視線が注がれています。 今回のコンクラーベは、教会改革や外交の行方を左右する重要な局面となるでしょう。この記事では、有力候補者とその背景、そして次期教皇選出の行方について詳しく解説します。
教皇選出の仕組みと候補者選定のポイント
次期教皇を選出するコンクラーベでは、80歳未満の枢機卿135人が投票権を持ちます。そのうち108人は教皇フランシスコが任命した人物です。 出席者の3分の2以上の票を獲得した枢機卿が次期教皇に選出されます。 教皇フランシスコはリベラルな姿勢で知られ、同性婚などに関して寛容な見解を示してきました。しかし、伝統を重んじる保守派からは不満の声も上がっており、選出過程での駆け引きが予想されます。
altズッピ枢機卿(左)とパロリン枢機卿。バチカンにて。(ローマ教皇庁ホームページより)
現体制を支えるイタリア人枢機卿:パロリン氏とズッピ氏
現在、有力候補として名前が挙がっているのは、いずれも教皇フランシスコ体制を支えてきたイタリア人枢機卿であるピエトロ・パロリン氏(70)とマテオ・ズッピ氏(69)です。
パロリン氏はバチカン(ローマ教皇庁)のナンバー2である国務長官を務め、豊富な外交経験を有しています。中国との司教任命権に関する暫定合意の立役者としても知られ、保守とリベラルの中間的な立場をとっているとされています。
ズッピ氏はイタリア司教協議会の会長を務め、国内のカトリック教会を統括しています。ロシアのウクライナ侵攻の解決に向けて教皇特使として奔走するなど、国際的な活動にも積極的に取り組んでいます。
アジア・アフリカからの選出の可能性も?
ヨーロッパでのカトリック離れが進む中、教皇フランシスコが重視してきたアジアやアフリカ出身の枢機卿が選出される可能性も視野に入れる必要があります。
アジアからは、アジア最大のカトリック人口を誇るフィリピン出身のルイス・アントニオ・タグレ氏(67)が注目されています。教皇フランシスコに近いことから「アジアのフランシスコ」とも呼ばれています。アフリカからは、ガーナ出身のピーター・タークソン氏(76)の名前が挙がっています。
保守派からの候補:エルドー氏
保守派からは、世俗化が進む先進国におけるカトリック再興運動を推進するハンガリー出身のペテル・エルドー氏(72)が有力候補として浮上しています。「現代社会における信仰の再構築」を提唱するエルドー氏は、若者を中心に支持を集めていると、宗教社会学者のマリア・ロッシ氏(仮名)は分析しています。
次期教皇選出の行方:世界が注目するコンクラーベ
次期教皇は、教会の伝統と現代社会の課題とのバランスをどのようにとっていくのか、世界が注目しています。コンクラーベでの投票の行方、そして新教皇の誕生は、カトリック教会の未来を大きく左右する重要な出来事となるでしょう。 今後の動向に注目が集まります。