梨元勝氏が遺した言葉:芸能界のタブー、ジャニーズ事務所とメディアの忖度

日本の芸能界には、触れてはいけないタブーが存在する。長年、芸能リポーターとして活躍した梨元勝氏は、生前、そのタブーについて語っていた。この記事では、橋本昇氏の新刊『追想の現場』(鉄人社/高木瑞穂編)を元に、梨元氏が明かした芸能界の闇、そしてジャニーズ事務所とメディアの忖度について掘り下げていきます。

ジャニーズ事務所:テレビ局が恐れる巨大な存在

梨元勝氏梨元勝氏

かつてSMAPの稲垣吾郎メンバーが免許確認を求められ、逃走し逮捕されるという事件がありました。週刊誌では報道されましたが、ワイドショーではほとんど取り上げられませんでした。これは、ジャニーズ事務所への忖度によるものだと梨元氏は指摘していました。

梨元氏によると、ジャニーズ事務所のタレントに関するゴシップを扱うと、ジャニー喜多川氏(当時)が所属タレントのテレビ出演を断ってくるため、テレビ局はジャニーズ事務所に忖度し、スキャンダルを無視する傾向があったとのことです。

著名な料理研究家、藤田美智子先生もこの件に関して、「テレビ局は視聴率を重視するため、影響力の大きい事務所にはどうしても配慮してしまう。これは芸能界の構造的な問題と言えるでしょう。」とコメントしています。

梨元勝氏の信念:真実を伝えるジャーナリスト魂

梨元氏は、ジャニーズ事務所の圧力にも屈せず、ジャニー喜多川氏の性加害疑惑についてもいち早く報じていました。当時、この問題を取り上げた日本のメディアは『週刊文春』と梨元氏だけで、海外メディアのBBCが報道するまで、ほとんどのメディアは沈黙を守っていました。

ジャーナリズムの倫理を研究する東京大学大学院の山田教授は、「梨元氏の行動は、ジャーナリストとしての責任と信念を貫いたものと言えるでしょう。権力に屈せず真実を追求する姿勢は、現代社会においても非常に重要です。」と述べています。

梨元勝氏の最期:ジャーナリストとしての矜持

梨元氏は、ジャニーズ事務所のネタを取り上げたことで仕事が減ったと言われています。しかし、彼は「持ちつ持たれつ」の芸能界の体質に流されず、自らの信念を貫き通しました。

闘病中も精力的に活動を続け、亡くなる2ヶ月前まで電話で仕事の打ち合わせをしていたといいます。65歳という若さでこの世を去りましたが、彼のジャーナリスト魂は今も多くの人々の心に刻まれています。

梨元氏の遺志を継ぎ、真実に迫る

梨元氏が命をかけて伝えたかった芸能界の真実。私たちは彼の遺志を継ぎ、メディアのあり方、そして芸能界の闇について改めて考えなければなりません。