アメリカ社会の多様性を象徴する少数派や労働者層。大統領選ではトランプ氏に期待を寄せた層も少なくなかった。しかし、就任から100日が経過した今、彼らの多くは深い失望と怒りを抱えている。本記事では、少数派団体や労働組合への取材を基に、トランプ政権初期の政策が彼らにどのような影響を与えたのか、そして今後のアメリカ社会の行方を探る。
少数派団体、トランプ政権への批判を強める
ヒスパニック系団体「ラテンアメリカ市民連合(LULAC)」の広報担当David Cruz氏は、中央日報のインタビューに対し、「もし今日もう一度投票をすることができるなら、絶対にトランプは選ばない」と断言した。少数派を標的とする政策、そして排他的な人種主義的な姿勢への懸念が、支持層の離反を招いている。
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黒人団体や労働組合も、トランプ政権の政策に強い反発を示している。特に製造業の復興と雇用創出を掲げた関税政策は、物価上昇を引き起こし、国民生活を圧迫しているとして批判が集まっている。
労働者層、「地獄のような100日」と表現
匿名を条件に取材に応じた労働組合関係者は、「過去100日は有色人種を含む労働者階層にとって地獄のような期間だった」と語った。「米国を再び偉大に」というスローガンとは裏腹に、社会の分断を深め、公共機関への信頼を失墜させたとして、トランプ政権の姿勢を厳しく非難した。
「歴史を歪める」行政命令への反発
黒人団体は、トランプ大統領が先月署名した「真実と精神の回復」という題名の行政命令についても強い反発を示している。歴史を歪曲し、黒人社会との約束を破ったと批判し、黒人の政治参加拡大運動を継続していくと表明した。
世論調査でも少数派の支持率低下が顕著
ピュー研究所の世論調査によると、トランプ大統領の国政運営に対する肯定評価比率は、就任直後から低下傾向にある。特に黒人、ヒスパニック、アジア系といった少数派層の支持率低下が顕著であり、彼らの不満の高まりが浮き彫りになっている。
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LULACのCruz氏は、少数派や労働者層の怒りの背景には、移民政策だけでなく、関税政策による経済的な打撃があると指摘する。無謀で衝動的な政策によって、多くの家庭が生存の危機に瀕している現状を訴えた。
分裂から団結へ:アメリカの未来
労働組合関係者は、「アメリカは移民によって築かれた国であり、労働者階層も人種で区分できない」と強調する。社会の分断を乗り越え、多様性を強みとして活かすことで、アメリカの未来を築いていく必要性を訴えた。
トランプ政権の100日は、アメリカ社会の深層にある矛盾を露呈させた。今後の政策運営において、少数派や労働者層の声に真摯に耳を傾け、社会の融和と発展を目指していくことが求められるだろう。