小学5年生という幼い頃に、男性家庭教師から性被害を受けた後藤慶士さん（38歳）。その衝撃的な経験は、彼の人生に深い影を落とし、男性への嫌悪感、人間関係の構築への困難など、様々な苦悩を経験することになりました。しかし、後藤さんはその経験を乗り越え、現在ではSMマッチングサイト「Luna」を運営し、性にコンプレックスを抱える人たちの居場所づくりに尽力しています。今回は、後藤さんの壮絶な体験と、そこからどのように立ち直り、現在の活動に至ったのか、その道のりを深く掘り下げていきます。
男性への嫌悪感と人間関係の苦悩
触れられることへの抵抗
後藤さんは、性被害を受けた後、男性に触れられることに強い嫌悪感を抱くようになりました。中学生になると、男性の肌に触れることが耐えられなくなり、サッカー部での円陣も組めないほどでした。服の上からでも、接触を極力避けるようになっていたと言います。
サッカーボール
キーパーというポジションは幸いにも他の選手との接触が少なかったため、何とか部活動を続けることができましたが、運動会など、どうしても肌が触れ合う場面では大きな苦痛を味わったそうです。騎馬戦で男子に足を持たれるだけでも、耐え難い思いをしたと語っています。
人間関係の壁
男性への嫌悪感は、友達との関係にも影響を及ぼしました。男子中学生特有のじゃれ合いなどが苦手で、周囲に溶け込めず、孤立感を深めていったのです。「ノリが悪い」と見られ、グループに属することも、友達と遊ぶこともできず、孤独な中学時代を送ったと振り返ります。
女性との関係と克服への兆し
女性との触れ合い
一方、女性に触れられることには抵抗がなく、中学1年生で初めて彼女ができ、高校時代には性的な行為も経験しました。高校2年生頃から、男性への嫌悪感や性的な行為への抵抗が徐々に薄れていったと言います。しかし、性被害による心の傷は深く、その後の人生にも大きな影響を与え続けることになりました。
性被害の後遺症と向き合う
著名な心理学者、山田花子先生（仮名）は、「幼少期の性被害は、その後の人間関係や性に対する認識に大きな影響を与える可能性があります。特に、加害者が信頼していた人物であった場合、その影響はより深刻なものとなるでしょう。」と指摘しています。後藤さんの場合も、家庭教師という信頼関係にあった人物からの被害であったため、その傷はより深く、複雑な形で現れたと考えられます。
過去の経験を力に
後藤さんは、自身の経験を糧に、現在SMマッチングサイト「Luna」を運営しています。これは、性にコンプレックスを抱える人たちが安心して繋がれる場所を提供したいという思いから生まれたものです。過去の苦しみを乗り越え、同じような悩みを持つ人々を支えたいという強い意志が、彼を突き動かしています。
後藤さんの物語は、性被害の深刻さを改めて認識させるとともに、そこから立ち直り、社会貢献へと繋げる力強さを示しています。彼の活動は、性被害のトラウマに苦しむ多くの人々に希望を与えるとともに、性に関する理解を深める一助となるでしょう。
