日本では物価が高騰し、年金で暮らす人の生活が苦しくなっています。しかし、世界に目を向けると、月額最高で172万円もの年金がもらえる国もあります。「世界一裕福な国」と言われるルクセンブルクに住む日本人を取材しました。
■年金見込み額トップのルクセンブルク
少子高齢化に加え、物価高騰で不安を抱える日本の年金。今年度の年金支給額は、40年間働いた夫と専業主婦のモデル年金世帯で4412円増え、月額23万2784円となりましたが…。
60代
「(Q.今もらっている年金の額でこれから生活できるかどうか?)無理でしょうね。東京都はやっぱり物価高いんで」
先進国が加盟するOECDのデータによると、日本人が生涯に受け取る年金の見込み額は、男性で現役時代の年収の8.2倍、女性は9.8倍です。38カ国のうち、男性は34番目、女性は31番目と下の方に位置しています。
一方、トップはルクセンブルクで、男性はなんと現役時代の年収の22.9倍、女性は25.3倍もの年金が受け取れます。
ルクセンブルクに17年在住 田中響子さん
「年金自体がそもそも労働者の権利というふうに考えているので。生活で困るとか私は聞いたことがない」
■「世界一裕福な国」平均年収1300万円
ベルギー・ドイツ・フランスに囲まれた、神奈川県ほどの面積の小国ルクセンブルク。中世ヨーロッパの面影を残す首都の旧市街や要塞群は、世界遺産に登録されています。
田中さん
「(ルクセンブルクには)67万人の中に170カ国の人が住んでいる」
かつては鉄鋼業が中心でしたが、金融業が発展し、EUの機関も数多く置かれていて、近年は航空宇宙産業が発達。平均年収はなんと1300万円です。
1人当たりのGDPは世界一で「世界一裕福な国」と言われていますが、街の中心から少し出ただけで、のどかな田園風景が広がります。
田中さん
「公共交通料金が、観光客であっても基本的にはお金を払うことはない。電車とバス、トラムと呼ばれる3つがある」
年金制度も充実していて、ルクセンブルク居住者の平均年金支給額は1人当たり月額59万9223円。公的年金に40年加入していた場合、1人当たり月額で最低でも37万円以上、最高で172万円もの年金がもらえます。
ルクセンブルクの年金が高い理由は、平均年収が高いことに加えて、日本の厚生年金のように保険料を労働者と会社の折半で納めるのではなく、労使と国が3等分で納めていて、保険料率が高いことが影響しているとみられます。
結婚を機にルクセンブルクに移住した西森武史さんは次のように話します。
ルクセンブルクに10年在住 西森さん
「(額面で)4000ユーロ(65万円)から4500ユーロ(73万円)ぐらいもらってる方がいらっしゃって。義理の祖父もですね、健康であるうちに早くリタイアする方が多い」
(「グッド!モーニング」2025年4月29日放送分より)
テレビ朝日