トランプ米大統領は7日、かつて自身を支持していた実業家イーロン・マスク氏に対し、野党・民主党の候補に献金した場合「報いを受けるだろう」と警告し、けん制しました。来年11月に控える政権に対する審判となる中間選挙を前に、世界有数の大富豪であるマスク氏の莫大な資金力に対し、トランプ氏は強い警戒感を示しています。これはNBCニュースの電話インタビューで明らかになりました。
米バージニア州アーリントンで撮影された、トランプ氏とマスク氏に関する米紙の1面報道(6日、ロイター/共同)
マスク氏への警告とその背景
トランプ氏はインタビューの中で、マスク氏が民主党候補へ政治献金を行った場合、自身から何らかの「報い」があることを示唆しました。この警告は、マスク氏が持つ影響力と資金力が、次期中間選挙の結果に影響を与える可能性をトランプ氏が深く懸念していることの表れです。特に選挙資金は、米国の選挙戦において非常に重要な要素となります。
トランプ氏、マスク氏との関係終了を表明
トランプ氏はまた、マスク氏との関係修復の考えについて「ない」と明確に回答しました。関係は終わったのかと問われると「そうだと思う」と述べ、二人の間の溝が決定的なものになったことを示唆しました。さらに、マスク氏が大統領職に対し「非常に無礼だ」と非難する言葉を口にしました。
イーロン・マスク氏とは
イーロン・マスク氏は、米電気自動車(EV)大手のテスラや、宇宙開発企業のスペースXなど、複数の革新的な企業を率いる実業家です。昨年の大統領選では、トランプ氏や共和党を支援するために、2億5千万ドル(日本円で約360億円)以上もの巨額な資金を投じたと報じられています。その資金力と発言力は、米政界でも大きな影響力を持っています。
関係悪化のきっかけ
かつてトランプ氏を支援していたマスク氏ですが、5月下旬に政権の諮問機関を離脱した後、政府が推進する減税延長などを盛り込んだ「看板法案」を公然と批判しました。これをきっかけとして、今月5日には、トランプ氏とマスク氏の間で交流サイト(SNS)上で激しい非難の応酬、いわゆる「口論」が発生し、二人の関係悪化が表面化しました。
まとめ
トランプ米大統領がイーロン・マスク氏に対し、民主党への献金をけん制し「報いを受ける」可能性があると警告したことは、両者の関係が完全に断絶した可能性を示唆しています。中間選挙を控え、マスク氏の資金力が選挙に与える影響を警戒するトランプ氏の発言は、今後の米政界の動向に注目が集まる要因の一つとなるでしょう。