闘病生活は、想像以上に過酷なもの。特に膀胱がん全摘出手術後の抗がん剤治療は、想像を絶する副作用をもたらし、私の日常は寝たきりの日々へと変わってしまいました。余命1年を宣告されてから1年2ヶ月。がん細胞と共存しながら、なんとか命をつなぎ、病魔に立ち向かう日々を送っています。
寝たきりからの脱却、体力回復への第一歩
抗がん剤の副作用は、体に鉛を流し込まれたかのような倦怠感と、38度を超える高熱による意識朦朧とした状態を引き起こしました。寝ていることだけが唯一の安らぎとなり、副作用がない日でもベッドから起き上がる気力は失われていました。当然、通院以外の外出はほとんどなくなり、運動不足と抗がん剤、がん細胞の影響による体重減少が重なり、体力の低下は深刻化していきました。かつては当たり前だった2リットルのペットボトルを持ち上げることも、瓶の蓋を開けることも困難になり、太ももの筋肉は見る影もなく衰えてしまいました。
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しかし、春の訪れと共に、このままではいけないという思いが芽生えました。少しでも筋肉を取り戻し、体力を回復させようと決意したのです。
自転車と自然の中で、少しずつ取り戻す力
初夏を迎えた頃、私は有酸素運動を始めました。自宅周辺のウォーキングに加え、自宅から井の頭公園までの自転車でのサイクリングを取り入れました。週に2、3回、体調の良い日を選んで、玉川上水沿いの平坦な道を、衰えた太ももを意識しながらペダルを漕ぎました。
途中、スーパーに立ち寄り、オレンジやバナナを購入。運動後のご褒美です。住宅街を抜け、玉川上水沿いの土の道に入ると、モミジの新緑、ツツジやシャガの花々が目に優しく、心も軽やかになります。
約30分で井の頭公園に到着。池の周辺は賑やかですが、南側の静かな森の広場は、都会の喧騒を忘れさせてくれる特別な場所です。自転車を止め、ベンチにシートを敷いて腰掛けると、クヌギ、ケヤキ、モミジ、コナラ、桜など、多様な樹木が織りなす緑の空間に癒されます。
高尾山登山、新たな挑戦と希望の光
そして先日、ついに高尾山登山に挑戦しました。体力に不安もありましたが、一歩一歩、自分のペースで登り続け、山頂からの景色を眺めた瞬間、言葉にならない感動がこみ上げてきました。この経験は、私に大きな自信と希望を与えてくれました。
体力回復への道のりはまだ続きますが、諦めずに努力を続け、いつかまた、以前のように自由に動き回れる日が来ることを信じています。
著名なスポーツドクターである山田先生(仮名)は、「運動はがん患者の体力回復や精神的なケアに非常に効果的です。無理のない範囲で、自分に合った運動を継続することが大切です。」と述べています。
この経験を通して、改めて運動の大切さを実感しました。これからも、自分のペースで運動を続け、体力回復を目指すと共に、人生を楽しむことを忘れずに生きていきたいと思っています。