ふるさと納税、コメ返礼品で波紋:減量か複雑な返金か、寄付者に苦渋の選択

ふるさと納税の返礼品として人気の高いコメ。しかし、コメ価格の高騰を受け、思わぬトラブルが発生しています。寄付者の中には、返礼品のコメの量が減らされる、もしくは複雑な返金手続きを迫られるという苦渋の選択を迫られている人たちがいます。一体何が起こっているのでしょうか?この記事では、ふるさと納税をめぐるコメ返礼品の問題点と、今後の見通しについて詳しく解説します。

コメ価格高騰が引き起こす返礼品騒動

コメの価格は高騰を続け、2025年4月28日には農林水産省が発表したコメ5キロの販売価格が4220円と、16週連続の値上がりとなりました。この影響は、ふるさと納税の返礼品にも及んでいます。

岡山県吉備中央町では、ふるさと納税の返礼品としてコメを提供していましたが、生産者への支援金を含めた調達費用が寄付額の48%に上っていたことから、総務省から問題視されていました。そして、この問題が思わぬ形で寄付者に降りかかってきたのです。

埼玉県にある道の駅でコメを購入する買い物客埼玉県にある道の駅でコメを購入する買い物客

吉備中央町にふるさと納税をした40代の男性は、1口1万1000円の寄付を12口行い、1年間毎月15キロのコメを受け取れることになっていました。しかし、町から届いた手紙には、今後の返礼品を15キロから8キロに減量するか、キャンセルして返金するかの選択を迫る内容が記されていました。

男性は確定申告の修正手続きの手間を考慮し、8キロでの受け取りを選択しましたが、納得のいかない思いを抱えています。返金を選択した場合、昨年度の寄附金税額控除を受けた人は修正申告が必要となり、追加納税の可能性もあるという、複雑な手続きが待ち受けています。

吉備中央町は、返礼割合基準を満たした上で、1口当たり15キロのコメを確保することが不可能になったと説明しています。

ふるさと納税、お得に利用できる時期は?

今後、寄付額の増加が見込まれるコメ返礼品。さらに、2025年10月からはふるさと納税ポータルサイトが独自に付与しているポイントが廃止される見通しです。

ふるさと納税総合研究所の西田匡志社長は、ポイント廃止前の時期、特に8月頃から各ポータルサイトがポイント合戦を繰り広げる可能性が高く、お得にふるさと納税を利用できるチャンスだと指摘しています。

今後のふるさと納税はどうなる?

今回のコメ返礼品の問題は、ふるさと納税制度の持続可能性について改めて考えさせる出来事となりました。「食料安全保障研究会」会長の五十嵐敬喜氏も、返礼品競争の行き過ぎを指摘しており、返礼品の見直しは避けられない状況と言えるでしょう。

今後、ふるさと納税制度がどのように変化していくのか、注目が集まっています。

まとめ

コメ価格の高騰を背景に、ふるさと納税の返礼品をめぐるトラブルが発生しています。寄付者は減量された返礼品を受け取るか、複雑な返金手続きを選択するかの難しい決断を迫られています。ふるさと納税制度の将来については、返礼品競争の是正や制度の見直しなど、様々な議論が交わされています。今後の動向に注目していく必要があるでしょう。