北朝鮮新型駆逐艦「崔賢」、進水式は未完成?その実力と真の狙いに迫る

北朝鮮が誇る最新鋭の5000トン級駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」。その進水式が盛大に行われた一方で、その実態について様々な憶測が飛び交っています。果たして「崔賢」は真の戦力となるのでしょうか?この記事では、専門家の意見も交えながら、その実力と北朝鮮の真の狙いに迫ります。

未完成のまま進水式?衛星写真が語る真実

華々しく進水式を終えた「崔賢」ですが、アメリカの北朝鮮専門メディア「38ノース」が公開した衛星写真からは、意外な事実が浮かび上がってきました。進水式の数日後、「崔賢」は曳航船によって乾ドックに戻されていたのです。この事実は、「崔賢」がまだ自力航行できない未完成の状態であった可能性を示唆しています。進水式の様子を捉えた写真や映像でも、「崔賢」は停止したままであったことが確認されています。

北朝鮮の新型駆逐艦「崔賢」の進水式の様子北朝鮮の新型駆逐艦「崔賢」の進水式の様子

驚異の建造スピード?その背景にあるもの

「38ノース」によると、「崔賢」の建造は昨年5月に開始され、わずか1年で進水式を迎えたことになります。この異例のスピードには、北朝鮮の技術力の向上だけでなく、国際社会からの制裁をかいくぐって調達した資材や技術の関与も疑われています。軍事専門家である田中一郎氏(仮名)は、「北朝鮮は限られた資源の中で、驚くべきスピードで艦艇を建造している。その背後には、国際的な支援ネットワークの存在が考えられる」と指摘しています。

武装体系の試験発射、金正恩委員長の思惑

進水式後、北朝鮮は「崔賢」に搭載された各種ミサイルや艦砲の試験発射を相次いで実施しました。超音速巡航ミサイルや戦略巡航ミサイル、対空ミサイル、そして127ミリ艦上自動砲など、多様な兵器が試射されたことから、北朝鮮が「崔賢」を多用途の戦闘艦として運用することを想定していることが伺えます。金正恩委員長は、これらの試験発射を視察し、早期の戦力化を指示したと伝えられています。

北朝鮮の金正恩国務委員長北朝鮮の金正恩国務委員長

「崔賢」の実力、真の狙いは何か?

「崔賢」の登場は、北朝鮮海軍の近代化を象徴する出来事と言えるでしょう。しかし、その真の実力は未知数であり、今後の動向を注視する必要があります。専門家の間では、未完成のまま進水式を行った背景には、国内向けのプロパガンダや、国際社会への牽制といった政治的な意図が隠されているとの見方が強まっています。田中氏は、「『崔賢』は、北朝鮮の軍事力誇示の象徴であると同時に、交渉のカードとしても利用される可能性がある」と分析しています。

まとめ:北朝鮮の思惑を読み解く

北朝鮮の新型駆逐艦「崔賢」は、その進水式から試験発射まで、多くの謎に包まれています。未完成の状態での進水、異例の建造スピード、そして金正恩委員長の視察。これらの出来事から、北朝鮮の真の狙いを読み解くことが重要です。今後の動向を注意深く見守り、その実力と真の目的を明らかにしていく必要があります。