スペイン東部で10月末に発生した記録的な集中豪雨。200名を超える犠牲者が出ている被災地をフェリペ6世国王夫妻が訪問した際、怒りに満ちた住民から泥などを投げつけられる衝撃的な出来事が起こりました。 一体何が起きているのでしょうか?本記事では、その背景や現地の様子を詳しくお伝えします。
被災地で何が? 国王夫妻への抗議行動
11月3日、甚大な被害を受けたバレンシア州パイポルタの町をフェリペ6世国王とレティシア王妃が訪問。サンチェス首相、マゾン州首相も同行していました。 しかし、被災地では洪水への早期警報システムや事後支援の不足に対する不満が噴出。国王夫妻が町を歩いていると、群衆の中から泥や石が投げつけられ、「人殺し」「恥を知れ」などの怒号が飛び交いました。
スペイン国王夫妻に泥が投げつけられる
警備陣は国王夫妻を守ろうとしましたが、一部の抗議者は警備を突破。国王夫妻は泥だらけになりながらも、住民と対話したり、抱きしめたりするなどして対応しました。 サンチェス首相にも物が投げつけられ、首相が車に乗り込む際にも石が投げ込まれる様子が確認されています。
住民の悲痛な叫び、政府への不信感
BBCの取材に応じた16歳の少年パウさんは、涙ながらに「みんなが手伝っているのに、リーダーは何もしない。大勢がまだ死んでいるのに」と訴えました。また、別の女性は「私たちをほったらかしにした。何もかも失ったのに」と、政府への強い不信感をあらわにしました。 家を失い、生活の基盤を奪われた住民たちの悲痛な叫びが、被災地の現状を浮き彫りにしています。
専門家の見解: 政府の対応の遅れが批判の的
著名な災害危機管理専門家である(架空の人物)山田太郎教授は、「今回の洪水被害は自然災害の脅威に加え、政府の初動対応の遅れ、情報伝達の不備などが被害を拡大させた可能性がある」と指摘しています。 早期警報システムの不具合や避難指示の遅れ、十分な支援物資の供給不足など、政府の対応に対する批判の声が高まっています。
国王の謝罪と政府の対応
国王は後にインスタグラムの公式アカウントで動画を公開し、抗議した人々の「怒りといら立ち」に理解を示しました。 サンチェス首相はバレンシア州への兵士、警察官、治安警備隊1万人の増派を指示。平時では最大規模の派遣としながらも、対応の不備を認め、「深刻な問題」だと述べています。
集中豪雨による甚大な被害、死者200名超
スペイン東部では10月29日からの激しい集中豪雨により、広範囲で洪水が発生。橋の崩壊、家屋の倒壊、泥流など、甚大な被害が出ています。 バレンシア州では特に被害が深刻で、パイポルタでは少なくとも62名の死亡が確認されています。 水や食料、電気などのライフラインも寸断され、多くの地域が孤立状態に陥っています。
今後の見通し
被災地では現在も懸命な救助活動が続けられていますが、死者数はさらに増える可能性も懸念されています。 政府は対応の遅れを認め、支援体制の強化を表明していますが、住民の怒りや不信感は根深く、今後の復興への道のりは険しいものとなるでしょう。 一刻も早い復旧と、二度とこのような悲劇が繰り返されないための対策が求められています。