「お金の謎」と「社会の仕組み」がよくわかると話題を集め、28万部のベストセラーになった経済教養小説『きみのお金は誰のため』。
【画像を見る】カンニング竹山さん主演のTikTokショートドラマのシーン
そのテーマを表現したTikTokショートドラマの主演を、カンニング竹山氏が務めた。彼もまた、幼少期から「お金」に振り回される人生を歩んできたという。
そこで今回は、竹山氏の「お金観」について語ってもらった(※本稿は前後編の前編です)。
■幼少期から「お金で変わる人の姿」を見てきた
今回のホームレス役は、初めて挑戦する役柄です。演技の仕事は、ネタ作りと似ていて、「ホームレスになる前は何をやっていた人だろう」ということを妄想するんです。
メガネのつるにビニールを巻いたり、細かいところですけど、監督に聞きながら人物像を作り上げていくのがすごく楽しかったですね。
「ペットボトルのキャップがお金になった」ことを自分の中で受け入れるシーンも、演じていて楽しかったです。
僕自身は、お金で変わる人の姿をいっぱい見てきました。
幼少期は父が事業をやっていて裕福でしたが、小学4年のころに倒産したんです。それまで可愛がってくれていた知り合いのおじさんたちが、「お金返せ!」とこぞって家へ怒鳴り込んでくるという体験をしました。父はしばらくいなくなって、母と6つ上の兄が対応していた記憶があります。
人は、お金によってきれいにもなるし、汚くもなる。本当の人間の優しさって何だろうという、うまく言葉にできないイメージがずっとありました。
その後、高校生のころにバブルがやってきて、父が土地で大儲けして復活するんですね。
銀行も「借りてくれ」とお金を持ってくる時代です。そのお金を投資して、また高値で売る。「あの土地がもうすぐ俺のものになるんだ」というような会話も聞こえてきました。
家には1億円分の現ナマが置いてあって、父には「これで人間って変わるからな。ちゃんと覚えとけよ」と言われたりしました。
罪を犯しているわけじゃないし、僕は父の恩恵を受けて生活しているので、よかったなとは思いつつ、どこかでずっと「品がないな」と感じていました。