下半身麻痺と診断された作業員、実は歩ける? 1億円賠償請求の裏に隠された真実

建設現場での事故で下半身麻痺と診断され、1億円もの賠償請求をしていた作業員。しかし、その裏には驚くべき真実が隠されていました。韓国で起きたこの事件は、損害賠償制度のあり方、そして人間の倫理観を問う大きな波紋を広げています。

事故発生と巨額賠償請求

2021年8月、江原道の飲食店建設現場で、60代の経営者が請け負った現場で、作業員が4メートルから転落。脊椎骨折の大怪我を負い、手術後には6本のピンが挿入されました。病院では「下半身麻痺」と診断され、その後、韓国労災補償制度で最も重い「第1級第8号障害」に認定。作業員は経営者を産業安全保健法違反で刑事告訴すると同時に、1億円もの損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。刑事裁判では経営者に1000万円の罰金が科されました。

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経営者の疑惑と驚愕の映像

しかし、民事訴訟の過程で、経営者はある情報を入手します。同じ病院に入院していた別の作業員から、「彼は歩ける」という証言を得たのです。経営者は独自に調査を開始し、作業員を尾行。すると、妻に車椅子を押してもらっていると思われていた作業員が、実は補助具なしで飲食店に入店し、食事後も普通に歩いている姿を捉えることができました。さらに、帰宅時には自ら車を運転し、自宅前で車椅子に乗り換えるという衝撃的な映像も入手しました。

詐欺容疑での告訴と不起訴処分

この証拠を掴んだ経営者は、作業員を詐欺容疑で告訴。しかし、警察は「多少の矛盾があっても処罰対象にはならない」として不起訴処分としました。

真実はどこに? それぞれの主張

作業員の弁護人は「医療診断に基づく正式な障害認定であり、事業主の訴えは無責任だ」と反論。医師の診断結果と障害認定を根拠に、正当性を主張しています。 一方で、経営者は「下半身麻痺と診断された人が歩くのは理解できない」と主張。入手した映像を韓国労働福祉公団に提出し、再検査を求めました。

専門家の見解

医療ジャーナリストの田中一郎氏(仮名)は、「下半身麻痺の診断は、神経学的検査や画像診断など、複数の要素に基づいて行われる。しかし、症状が時間経過とともに変化することもあり、再検査によって診断が覆される可能性もゼロではない」と指摘しています。

労働福祉公団の判断は?

現在、労働福祉公団は作業員に再検査を命じており、その結果が今後の展開を大きく左右することになりそうです。この事件は、損害賠償制度の在り方、そして医療診断の難しさ、さらには人間の倫理観までをも問う、複雑な問題を投げかけています。今後の動向に注目が集まります。