ルカシェンコ大統領、ポーランドに厳しい警告「地図から消える」と軍備増強を非難

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、ポーランドの軍備増強を巡り、同国が戦争を準備しており「世界地図から消えることもあり得る」と強く警告しました。ポーランドメディアTVPが現地時間3日に報じたところによると、ルカシェンコ大統領はベラルーシ独立記念日を前に開催された行事で、ポーランドがベラルーシ国境付近で緊張を誘発しているとして、その行動を厳しく非難しました。この発言は、東欧地域の地政学的な緊張が高まる中でなされたものです。

ポーランドへの警告について演説するベラルーシのルカシェンコ大統領ポーランドへの警告について演説するベラルーシのルカシェンコ大統領

ポーランドの軍備増強と西側戦略への言及

ルカシェンコ大統領は、ポーランドが米国など外国からの借款を利用して世界中から兵器を購入している現状を指摘しました。そして、これは「東欧を軍事化しようとする西側の戦略の一部だ」と主張し、ポーランドの軍事力強化が単なる防衛目的ではなく、より広範な地政学的戦略に基づいているとの見解を示しました。このような大規模な兵器購入は、地域の軍事バランスに影響を与え、緊張をさらに高める要因となり得ると強調しました。

代理戦争リスクとベラルーシ・ロシア関係

さらにルカシェンコ大統領は、ポーランドやバルト海沿岸諸国(バルト三国)が、ロシアとその同盟国に対抗する西側強大国の「代理戦争」に動員される危険性があると述べました。そして、「彼らが再び世界地図から消えることを選択するなら、それは彼らの選択だ」と繰り返し警告し、ポーランドには西側が必要とするような他の役割はないと突き放しました。ベラルーシはポーランド、リトアニア、ラトビアと国境を接しており、長年にわたりロシアの緊密な同盟国です。ルカシェンコ大統領自身は、ソ連崩壊直後の1994年から32年間政権を維持しており、「欧州最後の独裁者」とも称されています。

ポーランド・バルト三国の視点と国防費増強

一方、ポーランドとバルト三国は、ウクライナでの戦争勃発以降、ロシアからの軍事的脅威への備えとして、国防費を大幅に増額しています。昨年の国内総生産(GDP)に占める国防費の割合を見ると、ポーランドは4.12%で北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中で最も高く、エストニア(3.43%)、ラトビア(3.15%)、リトアニア(2.85%)のバルト三国も、いずれもNATO加盟国中上位5位以内に入っています。これは、これらの国々がロシアの侵攻リスクを現実的なものと捉え、自国の安全保障を強化するために緊急の措置を取っていることの表れです。

結論

ベラルーシのルカシェンコ大統領によるポーランドへの今回の警告は、東欧における緊張の高まりと、ロシア・ベラルーシ同盟と西側諸国(特にNATO加盟国)との間の深刻な対立構造を改めて浮き彫りにしました。ポーランドおよびバルト三国はロシアの脅威に対抗するための国防力強化を進めていますが、ベラルーシ側はこれを戦争準備および西側戦略の一部と見なし、強く牽制しています。地域の安全保障情勢は、相互不信と軍事的な動きによって、今後も予断を許さない状況が続く見通しです。

出典:タス通信/聯合ニュース(Yahoo!ニュース経由)