北朝鮮の金正恩総書記の娘、キム・ジュエ氏が、ファーストレディとしての役割を担い始めている可能性が浮上しています。公式行事への出席が増え、金総書記を積極的に補佐する姿が目立つようになり、北朝鮮の指導部における世代交代の兆候を示唆していると言えるでしょう。
キム・ジュエ氏の台頭:幼い少女から指導者候補へ?
2022年11月、ICBM「火星17型」の発射実験に初めて姿を現したキム・ジュエ氏。当時は幼い少女という印象でしたが、最近の公式行事では、白いジャケットに黒のスラックスという端正な装いで、金総書記の傍らに立つ姿が見られています。海軍の新型駆逐艦「崔賢号」の進水式では、金総書記と腕を組み、艦内を見学するなど、まるでファーストレディのような振る舞いを見せていました。
alt="金正恩総書記と娘のキム・ジュエ氏が海軍の新型駆逐艦「崔賢号」の進水式に出席している様子"
さらに、火星地区の住宅竣工式では、住民に自ら手を差し伸べるなど、積極的な交流も見られました。以前は緊張した様子も見られましたが、今では堂々とした振る舞いが目立ち、北朝鮮指導部内での存在感の高まりを示唆しています。専門家の間では、キム・ジュエ氏が4代目世襲の後継者となる可能性も囁かれており、指導者に準ずる教育を受けているとの見方もあります。
李雪主夫人の不在と金与正氏の動向
キム・ジュエ氏の台頭と時を同じくして、金正恩氏の妻、李雪主夫人の公の場への登場は減少しています。昨年1月の新年祝賀公演以降、姿を見せておらず、その動向が注目されています。韓国政府は、李雪主夫人の身辺に特異な動きはないと判断していますが、専門家の中には、キム・ジュエ氏を際立たせるための意図的な戦略ではないかとの見方もあります。
また、金正恩氏の妹、金与正党副部長も、最近では北朝鮮メディアへの露出が減っています。引き続き金総書記を補佐していると考えられますが、映像や写真では常に「フレーム外」に置かれるようになり、最高指導者の直系と傍系を明確に区別する意図がうかがえます。
今後の北朝鮮指導部の行方
キム・ジュエ氏のファーストレディとしての役割、李雪主夫人の不在、そして金与正氏の動向。これらの変化は、北朝鮮指導部における権力構造の変化を示唆している可能性があります。今後の北朝鮮の政治情勢を注視していく必要があるでしょう。