2025年の世界報道自由度ランキングが国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)より発表され、日本は180カ国・地域中66位という結果になりました。昨年から4つ順位を上げましたが、依然としてG7の中では最下位という厳しい現実が浮き彫りとなっています。
世界の報道自由度:光と影
9年連続で首位に輝いたのはノルウェー。一方、米国は57位と2つ順位を下げ、G7で日本に次ぐ低順位となりました。RSFは、ホワイトハウスによるAP通信記者の排除などを問題視し、報道の自由の後退を指摘しています。ローカルニュースの衰退も深刻な問題として挙げられています。
ノルウェーのフィヨルドの風景
日本の報道自由:前進と課題
日本に関してRSFは、報道の自由と多様性がおおむね尊重されているとしながらも、政府や企業による主要メディア経営陣への圧力が常態化している点を指摘。また、記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人記者への差別につながっているという批判も昨年同様繰り返されました。ジャーナリストの育成や独立系メディアへの支援、情報公開制度の強化など、更なる改善策が求められています。
日本の国会議事堂
記者クラブ制度:是か非か
長年議論の的となっている記者クラブ制度。メディア関係者からは情報収集の効率性や正確性を担保する上で不可欠との声も上がる一方、透明性の欠如や権力との癒着を招きやすい構造への懸念も根強く残っています。「記者クラブ制度は、報道の自由を阻害するものではなく、むしろ促進するものだ」と語るのは、メディア研究の第一人者である山田教授(仮名)。しかし、その意見に異を唱える声も少なくありません。
世界の現状:紛争と抑圧
ウクライナは62位、ロシアは171位と、両国の順位の差は紛争の影響を色濃く反映しています。イスラエルは112位、中国は178位、北朝鮮は179位と、報道の自由が制限されている国々の現状が改めて浮き彫りとなりました。最下位はエリトリアでした。国際社会全体で報道の自由を守るための取り組みが求められています。
紛争地域の報道陣
報道自由の未来:私たちにできること
報道の自由は民主主義の根幹を支える重要な要素です。私たち一人ひとりがメディアリテラシーを高め、多様な情報に触れ、真実を見極める力を養うことが、報道の自由を守り、より良い社会を築く第一歩となるでしょう。