人生100年時代。高齢になっても健康で元気に過ごしたいと願う人は多いでしょう。この記事では、90歳現役医師である折茂肇先生の著書『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新聞出版)を参考に、高齢期を健やかに過ごす秘訣を探ります。
高齢者の就業率上昇の背景にあるもの
高齢者の就業率が上昇しています。収入のためだけでなく、生きがいを求めて働く人も少なくありません。90歳を迎えた現役医師である折茂先生も、週4日高齢者施設で診察を続けています。そこには、どのような思いがあるのでしょうか。
90歳現役医師のイメージ
加齢による変化と心の持ちよう
年齢を重ねると、身体機能の低下や病気のリスク増加など、様々な変化が起こります。臓器の機能低下、体内環境のバランス崩れ、複数の病気を抱えること、若い頃とは異なる症状、病気の治癒の遅延、認知機能の低下など、多くの変化に直面します。
これらの変化は自然なものですが、精神的な影響も無視できません。健康状態の悪化、人間関係の変化、生活目標の喪失、将来への不安などは、うつ状態や体調不良につながる可能性があります。
しかし、高齢になるほど個人差が大きくなるのも事実です。身体機能の衰え方や病気の進行だけでなく、人格、性格、考え方、人生観、人生哲学も人それぞれです。
有名な料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「年齢を重ねるごとに、自分らしい生き方を見つけることが大切です。食生活も、自分の体と心に耳を傾け、無理なく楽しめることが重要です」と語っています。
病と闘いながらも人生を謳歌する
折茂先生が東大病院に勤務していた頃、ある著名な建築家の患者さんを担当していました。60歳頃から心臓病を患い、70代半ばまで毎月診察を受けていました。根治は難しい状況でしたが、その建築家の方は病を受け入れながらも仕事を続け、晩年まで精力的に活動していました。
高齢者施設で働く医師
弟子たちの支えもあったでしょうが、病気を抱えながらも仕事への情熱を持ち続ける強い精神力が、彼を突き動かしていたのだと折茂先生は感じていました。
高齢者医療の専門家である田中一郎医師(仮名)は、「高齢者にとって、精神的な健康は非常に重要です。趣味や仕事など、生きがいを持つことで、心身の健康を維持することができます」と述べています。
高齢者医療の落とし穴と対応策
折茂先生は現在も高齢者施設で週4日勤務しています。入所者への対応で気をつけているのは、高齢者特有の体や病気の特性を理解した上で健康管理を行うことです。特に、複数の薬を服用している「多剤処方(ポリファーマシー)」の場合は、十分な確認が必要です。
高齢者は複数の病気を抱えている場合が多く、それぞれの病気が相互作用して別の病気を引き起こしたり悪化させたりすることがあります。複数の病院や医師の診療を受けている場合、情報共有が不十分になる可能性もあるため、注意が必要です。
快老の秘訣
高齢期を健やかに過ごすためには、心身の変化を受け入れ、自分らしい生き方を見つけることが大切です。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動、そして社会との繋がりを維持することで、充実した日々を送ることができるでしょう。
この記事が、高齢期を元気に過ごすための一助となれば幸いです。