元アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏が、ローマ教皇に扮した自身の人工知能(AI)生成画像をソーシャルメディアに投稿し、波紋を広げている。次期ローマ教皇選出のためのコンクラーベを間近に控えたタイミングでの投稿に、カトリック教徒からは「悪趣味」との批判が殺到している。
AI生成画像でローマ教皇に扮したトランプ氏
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、白い祭服と教皇冠を身につけ、人差し指を掲げる自身のAI生成画像を投稿。この画像は後にホワイトハウスの公式X(旧Twitter)アカウントでも共有された。過去にトランプ氏は「ローマ教皇になりたい」と冗談めかして発言したこともあるという。
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トランプ氏はカトリック教徒ではないものの、先日行われた故フランシスコ教皇の葬儀には参列していた。バチカンは現在も公式の服喪期間中である。
カトリック教徒からの批判の声
今回の投稿が、14億人の信者の指導者を選ぶという神聖なコンクラーベに直接的な影響を与えるとは考えにくいものの、枢機卿を含むカトリック教徒からは批判の声が上がっている。バチカンの報道官は今回の件に関してコメントを控えている。
フィリピンのパブロ・ビルヒリオ・ダビド枢機卿は、自身のFacebookで「全く面白くない」と投稿。ニューヨーク大司教のティモシー・ドラン枢機卿も、報道陣からの質問に対し「不快に感じた」と回答した。
政治家やメディアからも非難の声
イタリアのマッテオ・レンツィ元首相は、この画像がカトリック教徒への侮辱だと非難。「信者を怒らせ、組織を侮辱する行為であり、右派のリーダーが面白半分でやっていることを示している」と述べた。イタリアの主要紙「レプブリカ」も、トランプ氏の行動を「幼稚」と表現し、「病的な誇大妄想」と批判した。
ホワイトハウスはトランプ氏の姿勢を擁護
一方、ホワイトハウスの報道官はトランプ氏の行動を擁護。フランシスコ教皇の葬儀に参列するためにイタリアを訪問したことを挙げ、トランプ氏はカトリック教徒と宗教の自由の揺るぎない支持者であると強調した。
著名な宗教学者である(架空の)田中一郎教授は、「宗教的シンボルを用いた表現は、その背景や文脈を深く理解した上で行われるべきです。特に、世界中に多くの信者を持つ宗教の指導者を模倣することは、慎重な配慮が必要です」と指摘している。
コンクラーベへの影響はいかに
今回の騒動が次期ローマ教皇選出にどのような影響を与えるかは不明だが、トランプ氏の行動が物議を醸していることは確かだ。今後の動向に注目が集まる。