教員給特法改正案、残業時間削減目標を明記へ 働き方改革に期待高まる

教員の働き方改革に向けた取り組みが大きく前進しようとしています。公立学校教員の処遇改善を目的とする教員給与特別措置法(給特法)などの改正案で、与野党が大筋合意に至ったことが明らかになりました。今回の改正案では、教員の平均残業時間を月30時間まで削減する目標や、公立中学校での35人学級の実現といった政府目標が法案に明記される見通しです。これにより、長らく問題視されてきた教員の過重労働の改善に具体的な道筋がつけられると期待されています。

残業時間削減へ具体的な施策盛り込む

立憲民主党と日本維新の会が作成した修正案には、教員の残業時間削減に向けた具体的な施策が盛り込まれています。教員定数の見直しや、教員1人当たりの担当授業数の削減などが明記され、人事評価にも業務内容を適切に反映していくことが定められています。また、教育委員会などによる働き方改革の推進も規定されており、多角的なアプローチで残業時間削減を目指す姿勢が明確になっています。

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給特法改正の柱と背景にある深刻な長時間労働

今回の給特法改正の柱は、教員に残業代の代わりに支給されている基本給の4%を上乗せした「教職調整額」を段階的に10%に引き上げることです。文部科学省の2022年度調査によると、公立中学校教員の平均残業時間は月58時間にものぼり、教育現場における長時間労働が常態化していることが浮き彫りになっています。今回の改正は、こうした過酷な労働環境の改善を目指したものです。

専門家の意見:抜本的な改革が必要

教育政策に詳しいA大学B教授は、「給与の引き上げは重要な一歩だが、長時間労働の根本原因を解消するためには、業務内容の見直しや教員支援体制の強化など、抜本的な改革が必要だ」と指摘しています。

野党の主張と与党の同意

野党側は、教員の担い手不足解消のためには、給与の是正だけでなく、残業時間削減に向けた業務の見直しが必要だと主張してきました。今回の修正案は、政府目標を法制化する内容であることから、自民党も同意しており、与野党が協力して教員の働き方改革に取り組む姿勢を示しています。

若手教員のメンタルヘルス問題にも注目

近年、若手教員のメンタルヘルス問題が増加しているという報告もあります。長時間労働の改善は、教員の心身の健康を守る上でも不可欠です。

まとめ:持続可能な教育体制構築へ

今回の給特法改正は、教員の働き方改革に向けた大きな一歩となることが期待されます。残業時間削減目標の明記や具体的な施策の盛り込みにより、教育現場の負担軽減と、質の高い教育の提供が両立できる、持続可能な教育体制の構築につながることが期待されています。