【万博】消えぬもやもや感、赤旗に渋り大メディアには出す入場無料の関係者用パス、そもそも報道機関は「関係者」か


■ フリーランス記者は「一般」か「報道機関」か

【写真】万博 東ゲート。手荷物検査を経て入場する来場者

 講演会やイベントなどの取材などにいくと、往々にして入り口でモヤる。会場の受付の区分が「一般」か「報道機関(またはマスコミ)」となっているからだ。

 取材者ではあるが、報道「機関」に属さない私は、一体どこでチェックインすればいいのだろうかと。

 先日あった、県外在住の方が広島で開いたあるイベントのときもそうだ。「フリーランスの記者として取材したい」と、規定通り、名前や具体的な発信媒体名を示して事前に主催者側に連絡し、参加許可の返信を得ていたのだが、どういうわけか取材記者リストに名前がなく、別枠で登録されていた。

 幸い、受付の人に顔を認識してもらっていたので、取材パスをもらって会場内での取材はことなきをえた。だが、無所属の取材記者という存在が、いかに想定されていないかを改めて思い知らされた。

 東京や大阪などの都市部ではもう少しフリーランスの取材者の存在が認識されているのだろうが、広島のような規模の街では、悲しいけれど取材記者=地元に拠点を置く報道機関に所属している記者、でしかない。

 19年間勤務した全国紙を退社して4年、この間ざっと数えて25ほどの媒体で仕事をさせていただき、共著含めて4冊の本を執筆したが、自分の力不足、知名度不足をただただ嘆く。まだまだ修行が足りない。

 広島市議会の委員会を傍聴取材する時もそうだ。新聞記者時代は「報道関係者席」と示されたデスク付きの席に座ることができたが、フリーランスになってからそこに座ろうとしたら議会事務局の担当者に「記者クラブ加盟社の記者だけ」と言われたので、デスクのない一般傍聴席に移動した。記者なのに、報道関係者ではないということだ。

 そういう対応をある程度想定した上で新聞社を辞めているとはいえ、今までと同じ場所で同じように取材をしているだけなのになあ、と思う。

 一方で、そんな中でもちょっとずつ、記者クラブの記者しかいないと想定されてきた場所での取材にトライしてきた。例えば、首長の記者会見。広島市長記者会見と、広島県知事記者会見。それぞれ役所の広報担当者や記者クラブと調整し、以下の条件を満たせば参加できることになった。

 (1)公益社団法人 日本専門新聞協会会員社に所属する記者
(2)一般社団法人 日本雑誌協会会員社に所属する記者
(3)外務省が発行する外国記者登録証の保持者
(4)一般社団法人 日本インターネット報道協会法人会員社に所属する記者で、十分な活動実績・実態を有する者
(5)上記(1)、(2)、(4)の企業、または一般社団法人 日本新聞協会加盟社が発行する媒体に署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者

 記者クラブメディア以外の記者は(1)〜(4)、どこにも所属しないフリーランスの記者は(5)に該当するということになろう。私は(5)を一応満たすので、その都度日程確認をして申請するという煩わしさこそあるが、記者クラブの記者と同様参加して質問できる。

 ただ、広島の首長会見は、何かと話題の兵庫県知事や東京都知事の会見のように、「よそ者」や「想定外の記者」が常時参加している、なんて風景はめったにない。

 前述の要件は、おそらく他でも運用されている、ごく一般的な参加要件だ。この1年ほど、フリーランスの記者が常に複数参加している兵庫県知事会見について、兵庫県庁の広報担当者に聞いてみたが、やはり同様の要件を示しているとの説明だった(そしておそらくそういう基準を設けずに「フルオープン」とした会見がどんなものになったかは、ご覧になった方にはわかると思う。報道取材の実態の有無というフィルターにかけるプロセスがいかに大切かを)。



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