メキシコ湾を「アメリカ湾」と表記、米グーグルをメキシコが提訴


シェインバウム氏は、提訴の場所は明らかにしていない。BBCはグーグルにコメントを求めたが、返答は得られていない。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は1月の就任初日、メキシコ湾の名前を「アメリカ湾」に変更する大統領令に署名。「(メキシコで)大半の仕事をしている」のはアメリカで、湾は「自分たちのもの」だとし、名称変更は正当なものだと主張した。

今月8日には、トランプ氏率いる共和党が多数派の米下院で、連邦政府機関向けに湾の名称を正式に変更する法案が可決された。

しかし、シェインバウム政権は、トランプ氏の大統領令は湾全体にではなく、アメリカの大陸棚にのみ適用されると主張している。

シェインバウム氏は、「米政府が出した命令の順守のみを我々は望んでいる」と述べ、アメリカには湾全体の名称を変更する権限はないと指摘した。

トランプ氏の大統領令署名を受け、シェインバウム氏は1月末、グーグルに、地図アプリ「グーグルマップ」でメキシコ湾の名称を変更しないよう求める書簡を送った。翌月には、法的措置を取ると警告した。

グーグル側は当時、メキシコ湾の名称変更について、政府の公式発表に従って名称を変更するという「長年の慣行」の一環だとしていた。

同社は、アメリカ、キューバ、メキシコと接するメキシコ湾の名称は、メキシコ国内のアプリユーザー向けには変更されないとし、世界のほかの国・地域のユーザー向けには「メキシコ湾(アメリカ湾)」と表示されるようになると説明した。

こうした中、米AP通信は、記事の表記などを定めた「スタイルブック」でメキシコ湾の名称を変更しないと発表した。同社のスタイルブックは、アメリカのほとんどのメディアが使用している。

この決定を受けてホワイトハウスは、特定の大統領関連の取材からAPの記者を締め出した。

首都ワシントンの連邦地方裁判所は先月、この禁止措置は「合衆国憲法修正第1条に反する」と判断し、AP通信の取材へのアクセスを回復するよう政権に命じた。

トランプ氏は今月7日、世界のほかの湾についても、名称変更を検討していることを示唆した。

AP通信によると、トランプ氏は来週のサウジアラビア訪問時に、アメリカが今後、ペルシャ湾を「アラビア湾」と呼ぶことを発表する予定だという。

イランのアッバス・アラグチ外相は、「ばかげたうわさ」が「偽情報キャンペーンに過ぎない」ことを願っているとし、そのような動きは「イラン人全員の怒りを買う」ことになると述べた。

(英語記事 Mexico sues Google over ‘Gulf of America’ name change)

(c) BBC News



Source link