最新iPhone、半年遅れの販売 新興大国と「35%」の駆け引き


【写真】インド南部タミルナドゥ州の公社が整備した、iPhone受託生産企業の工場労働者向けの寮

 4月11日。首都ジャカルタ中心部のショッピングモールに、開店時間を前に長蛇の列ができた。客の目当ては、この日から国内販売が始まったiPhone16だ。列の先頭に並んだ自営業のイヴァンさん(26)は、韓国のサムスン電子製のスマホを愛用していたが、トランプ米政権の「相互関税」導入を機に乗り換えを決意したという。関税合戦の影響を受けて、今後iPhoneの販売価格が上がるかもしれないと思ったためだ。イヴァンさんは「先頭で並べて幸運だ」と興奮気味に話した。

 国内でアップルの認定販売店を運営する小売業者によると、販売価格は1台1590万インドネシアルピア(約14万円)から。政府の統計では都市や職種ごとに差はあるものの、国内の平均月収は500万ルピアほどとされる。安い買い物ではないはずだが、整理券を手に行列に並んだ人々が次々と製品を受け取った。

 アップルは昨年9月に「16」を世界で発売したが、インドネシア政府はiPhoneが同国の定める電子機器の「国産化率」の基準に達していないとして販売を禁止した。

 製造業振興を目指す同国は、電子機器や医薬品などに、仕入れや製造過程における原材料や作業人員などの現地調達比率を設定。スマホは35%以上とし、従わなければ企業に製品の販売禁止といった制裁を科す。この措置を巡り、同国とGAFAの一角が綱引きを繰り広げたのだ。

朝日新聞社



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