長野市の看護学校、入学者急減
長野市医師会は運営する長野看護専門学校(長野市)の存続に向け、陳情書を市に提出した。同校は新型コロナウイルス感染症や少子化の影響で入学者数が減少し、経営状況が悪化。高齢化の加速で看護人材の養成、確保は一層重要になるとし、公立化の検討や財政支援を求めた。市は年度内の早い時期に「検討の場を設けたい」(荻原健司市長)と応じた。
地域への人材供給が特徴
同校は1952(昭和27)年に前身の准看護学院が開校。看護師を目指す第1看護学科(3年、定員120人)、働きながら准看護師になるための准看護学科(2年、80人)、准看護師が対象の第2看護学科(3年、120人)の3学科を併設する。地域への人材供給が多いのが特徴といい、昨年度の卒業生49人のうち県内への就職者が44人(市内は28人)を占めた。
コロナ下で敬遠の動き 充足率100%⇨58%に激減
一方、近年は新型コロナ下で看護師の業務負担を敬遠する動きが強まり、入学者数が減少。在籍数の定員(320人)は2018年度を最後に充足率100%を切り、本年度は58%(186人)に落ち込んだ。運営には市や県などの補助金を充てているが、収入減少に伴って市医師会からの繰り入れは法人会計予算の3分の1に膨らんだ。
会長、公立化とさらなる財政支援が必要と市に訴え
市役所を訪れた釜田秀明会長は、経営安定化に向けて公立化とさらなる財政支援が必要だと強調。具体的な公立化の在り方などは未定としつつ、「この1年間が勝負だ」と述べ、市と共に速やかに方向性をまとめる必要性があるとした。倉石和明副会長はなり手不足に触れ、「10年後、20年後には市の医療供給体制が破綻する」と訴えた。
荻原市長は「市としても看護人材の確保は非常に大きな課題」と強調。県などと相談して取り組む考えを示した。市議会3月定例会では「検討の場」設置を求める市医師会提出の請願が全会一致で採択されており、市保健福祉部は設置時期やメンバーを検討しているとした。