「連絡は回覧板」「アポなし訪問で自治会費を集金」…LINEやPayPayとは無縁な“埼玉の団地暮らし”が快適に思えてきた理由


埼玉にもある紙文化と非ネット社会

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 そうS氏が指摘するように、自治会の連絡手段はことごとく“紙”であり、緊急を要する連絡は“電話”なのである。そして、さらに緊急の相談事があると、ノーアポで直接部屋まで関係者がやって来るのだという。実は、S氏に取材中、タイミングよく自治会の役員から電話がかかってきた。20分にも及んだ電話は用件だけで終わるのではなく、雑談もかなりの時間を占めていた。

自治会の会費も集金して回っている

「自治会費は部屋を回って、現金で直接集金しています。それを手作業で数え、現金のまま銀行に持って行き、預けるスタイルをいまだに続けているんですよ。ひっくり返りそうになりました。会費なんて引き落としにするか振り込みにすればいいのに、手間をかけて手仕事で集めているんです。私は“振り込みにしたら”と提案したことがありますが、それを聞いても大半の人がきょとんとしていました。

 スマホのアプリやパソコン上からもいくらでも送金できる時代なのに、うちの近所にある銀行のATMにはしばしば長蛇の列ができます。観察していると、わざわざ現金を用意してATMから送金している高齢者をよく目にします。口座残高から直接振り込めるはずなのですが、教わる機会がないのか、現状で不便を感じないのか、現金主義なのです」

 ちなみに、千葉県内在住のS氏の知り合い(70代で一軒家住まい)の町内の自治会でも、やはり回覧板と自治会費の現金集金が継続されているそうだ。自治会費を集める当番になると、1年間、一軒ずつ集金して回ることになる。夏場は暑いし、住人が不在のことも多いだろう。実際、「死ぬほど面倒くさい」そうだが、自治会ではこのシステムを変える予定はないそうだ。



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