広島県安芸高田市の吉田町中心部にある計三つの保育所と幼稚園を統合移転する認定こども園整備計画で、藤本悦志市長は17日、移転先を、3施設と同じ吉田小学校区内にある「吉田運動公園」周辺とする方針を明らかにした。石丸伸二前市長は、約5キロ離れた校区外に移す方針だったが、藤本市長は2024年7月の就任直後に見直しを表明していた。
この日、市役所であった新年度予算案発表の記者会見で、藤本市長は「小学校とこども園が離れ、小さいお子さんを持った家族が分散するのもよくない。吉田小学校区内がベストではないか」と話した。吉田運動公園は、3施設のある場所から西に約1キロ離れている。一般会計当初予算案に用地の購入費として3500万円を計上した。地権者と交渉中で、29年4月の開園をめざすという。
3施設は吉田保育所、みつや保育所と吉田幼稚園で、計約140人が在籍。2施設は土砂災害特別警戒区域にあり、移転が急務となっていた。
石丸前市長は22年11月、3施設から約5キロ離れた同町山手の旧田んぼアート公園予定地に、公園と一緒に認定こども園を整備する方針を発表。市は23年度当初予算案に基本構想策定費を計上した。だが、議会がこれを削除する修正案を可決。市は同年12月の補正予算案に再び計上したが、議会が同じく削った。
削除理由として、議会側は「1小学校区に1保育所」の原則が崩れることや、住民への説明不足などを挙げ、石丸前市長との対立が続いていた。
石丸前市長は辞任する直前の24年5月に基本構想策定費を専決処分したが、議会は6月定例会でこれも不承認とした。
藤本市長は24年7月の就任後、校区外移転の見直しを表明。基本構想策定業務の公募手続きを中止し、吉田小学校区内での候補地の選定を進めていた。(柳川迅)
朝日新聞社