イスラエルの検察当局から汚職罪などで起訴されたことで、ネタニヤフ首相は厳しい立場に追い込まれた。同氏は「首相在任中は訴追されない」という法律の制定を目指しているとされ、訴追回避のため首相のポストを手放さないとみられる。検察側は政権樹立の連立協議が停滞する間に起訴を発表して先手を打った格好だが、ネタニヤフ氏は対外的な攻撃姿勢をさらに強め、支持基盤の維持に乗り出すとみられている。
中東のメディアでは22日、「ネタニヤフ氏は国内の支持を引き留めるため、(パレスチナ自治区)ガザやイラン、シリアなどで軍事的な戦線を拡大する」との観測が複数出た。
ネタニヤフ政権は今月中旬、イランの支援を受けているとされる過激派「イスラム聖戦」の司令官をガザで暗殺し、イランが軍事拠点を設けているとされるシリアにも空爆を行い、イランの軍関係者10人前後を殺害。ただ、こうした対外的な強硬姿勢は従来の路線の延長に過ぎず、政権維持に効果があるかは不透明だ。
ネタニヤフ氏と親密な関係にあるトランプ米政権は、国際的には帰属が未確定のエルサレムを「イスラエルの首都」と認定するなど、ユダヤ人右派を支持基盤とするネタニヤフ氏を側面支援してきた。