23人に1人――。
妻との間に第1子が生まれた男性のうち、45歳以上の男性の割合だ。まだまだ多数派ではないが、20年前の「67人に1人」に比べ、格段に増えている。(厚生労働省「人口動態統計」2003年、2023年報を基に筆者集計)
アラフィフからの子育て、と聞くと「経済面、体力面ともに大変そう」とネガティブに捉える人も少なくない。しかし、当の本人たちはどのように感じているのか。
本連載では、45歳以上で「パパデビュー」した男性に、リアルな子育てライフを聞く。
第5回は、今から約20年前、59歳で初めて第1子を授かった片山さん(80歳)にお話を聞いた。
■父80歳、息子20歳
片山さんは現在80歳。ソフトウェア業の会社を経営する社長であり、現役のプログラマーでもある。カジュアルなネイビーのセットアップに身を包み、タブレットなどのデバイスを使いこなし「このあと、息子と待ち合わせしてビリヤードに行くんです」とにこやかに話す姿は、実年齢のイメージとは大きくかけ離れた若々しい印象を受けた。
息子さんは現在20歳で、都内の大学に通う大学生である。一見すると「孫と祖父」だと思われても不自然ではないほどの年齢差。なぜ片山さんは「アラ還」でパパとなったのか。そして20年の月日を経た今、子育てを振り返ってどう感じているのだろうか。まずは片山さんの半生を辿る。
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片山さんは1945年、終戦の年に生まれた。この世代は、10代で高度経済成長期を経験し、学生時代に学生運動のピークを迎え、社会人としてバブル景気と崩壊の波を直に受けるといった、戦後日本のありとあらゆる変革期に立ち会ってきた背景がある。
片山さんは大学卒業後、建設会社で内装関係の職に就くが、「サラリーマンをまともにしていたのは最初の1年くらい」。20社以上を転々とした。理由は、あくまでも自身の分析だが