ロシアのプーチン大統領は11日、ウクライナでの停戦に向けて2022年に中断したウクライナとの直接協議を、15日にトルコのイスタンブールで再開することを一方的に提案した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は提案に応じるだけでなく、自らトルコ入りすると表明。首脳会談の実施を逆提案した。
露側はトルコでの協議は高官級協議を想定しているとみられる。プーチン氏がゼレンスキー氏の提案に応じてトルコを訪れる可能性は低いとみられるが、高官級協議でも直接交渉が実現すれば22年3月以来となる。
プーチン氏は11日未明、露大統領府での記者発表で、「前提条件なしで中断されたウクライナとの交渉の再開を提案する」と表明。交渉目的は「紛争の根本原因の除去や長期的で安定した平和の確立だ」とし、従来の主張であるウクライナの非武装化やゼレンスキー政権の交代による親欧米路線の放棄などを示唆した。
英仏独など欧州4か国とウクライナは10日、米提案の30日間の無条件停戦を12日から履行するようロシアに求めたが、プーチン氏は11日の記者発表で、この提案には触れなかった。直接交渉の提案で主導権を握る狙いがあるとみられる。
プーチン氏の提案を受け、米国のトランプ大統領は11日、自身のSNSに「ウクライナは直ちに同意すべきだ」と投稿し、交渉入りを求めた。露側の提案を「ウクライナは少なくとも合意が可能かどうか判断できる」と述べ、直接交渉を促した。
ゼレンスキー氏は当初、ロシアが「信頼できる停戦」を実行に移せば「会う用意がある」とSNSで表明し、停戦を優先する考えを強調した。だが、トランプ氏の投稿後に方針を転換。「木曜にトルコでプーチンを待っている。今回はロシアが言い訳を探さないことを願う」と投稿し、プーチン氏に会談を逆提案した。
一方、ロシアが対独戦勝80年記念日に合わせて宣言した8日から72時間のウクライナとの停戦期間は11日午前0時(日本時間午前6時)に終了。双方は期間中も攻撃が続いたと非難の応酬を続けた。23年1月の「クリスマス停戦」や今年4月の「復活祭停戦」に続き停戦は実現しなかった。