2025年6月、北朝鮮は元山葛麻(ウォンサン・カルマ)ビーチリゾートをオープンする計画だ。
北朝鮮はこの巨大ビーチリゾートを外貨獲得の手段と見なすかもしれない。
ただ、専門家は北朝鮮のこのビーチリゾートがマスツーリズム(大衆観光)市場に進出するのは難しいだろうとBusiness Insiderに語った。
2024年10月、日焼けした金髪のロシア人が北朝鮮のビーチでくつろぐ動画が話題になった。
【全画像をみる】観光客は集まるのか? 北朝鮮、金総書記の「夢」の巨大ビーチリゾートがついにオープンへ
このビーチこそ、元山葛麻ビーチリゾートだ。金正恩(キム・ジョンウン)総書記の壮大な野望の1つの表れだ。
報道によると、客室数は約7000~2万室と幅があるものの、単独所有のビーチリゾートとしては世界最大級だ。
「これは(観光業において)金正恩がこれまでに行ってきた他のどんなことよりもはるかに大きなことだ」とランド研究所の北朝鮮問題の専門家ブルース・W・ベネット(Bruce W. Bennett)氏はBusiness Insiderに語った。
自らの全体主義的権力を内外に誇示するワールドクラスの巨大観光プロジェクトであり、金儲けの手段でもある元山葛麻ビーチリゾートは、金正恩総書記にとってまさに”夢”だ。
ただ、問題は誰がそこに来るのか、だ。
Business Insiderは在ロンドン北朝鮮大使館にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
北朝鮮の観光業
2014年に初めて発表されたこのプロジェクトは、何度か延期されてきた。2019年に初めての延期が発表された際、金総書記は”質”で妥協したくなかったと語った。アナリストたちは当時、この”遅れ”は国際社会による制裁の影響で、輸入が制限されたためではないかと推測していた。
プロジェクトは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響も受けたが、この6月にいよいよオープン予定だ。つまりパンデミックをきっかけに国境をほぼ封鎖していた北朝鮮が、まもなく国際観光を再開する可能性があるということだ。
北朝鮮は2月にも、外国人観光客を団体で受け入れていた。ツアー会社は状況を注意深く見守っている。
ツアー客を引率したYoung Pioneer Toursの共同創業者ローワン・ビアード(Rowan Beard)氏は、まだ元山葛麻ビーチリゾートを見たことはないとBusiness Insiderに語った。ただ、リゾート開発の話を聞いた時は感心したという。
「観光客向けだけでなく、本当に素晴らしい施設がたくさんあるんです」とビアード氏は話した。
「代表団向けにも作られていて、特別な代表団用の客室やプレジデンシャル・スイートがあります」
「ものすごく大きいんです。1つの都市みたいに。ゼロからゴールド・コーストを作っているかのようです」
北朝鮮の国営メディアは2014年、広さ3460エーカー(約14平方キロメートル)のこのビーチリゾートには、あらゆる予算に対応するホテル、コンドミニアム、マンションに加え、「海中ホテルやフラワーパーク、国際会議場、展示・博覧会会場」が建つと伝えている。
北朝鮮では、この地域はすでに人気観光地だ。近くの松濤園(ソンドウォン)には国際少年団キャンプ場があって、冬には20キロほど離れた馬息嶺(マシンニョン)スキーリゾートを訪れることもできる。
金総書記はこの地域の美しさを称賛したと国営メディアは伝えている。自らもこの地で幼少期の一時期を過ごし、近くに豪華な私邸を所有しているという。
Mia Jankowicz