韓国の5大公共料金関連公企業の負債がこの7年で70%近く膨らみ326兆ウォン(約34兆円)を突破した。料金引き上げの先送りを続けたためだ。
公共機関経営情報公開システムなどによると、昨年末に韓国電力公社(電気料金)と韓国ガス公社(ガス料金)、韓国道路公社(高速道路通行料)、韓国鉄道公社(鉄道料金)、韓国水資源公社(上水道料金)の負債は総額326兆ウォンに達した。2017年末の193兆ウォンと比較して68.7%ほど増加した。負債は利子を加えて償還しなければならない金融負債と、利子が発生しない非金融負債に区分される。5社の金融負債はこの期間に142兆ウォンから256兆ウォンに79.8%増えた。
このうち韓国電力の負債が146兆ウォンで最も多い。ガス公社が43兆ウォン、道路公社が40兆ウォン、鉄道公社が17兆ウォン、水資源公社が9兆ウォンの順だ。資本に対する負債の割合を意味する負債比率を見れば韓国電力が496.7%、ガス公社が432.7%、鉄道公社が259.9%の順で悪かった。
このようになったのはこれら公企業が原価より料金が安い「利益の出ない商売」をしてきたためだ。政府が長期間にわたり公共料金を引き上げなかった結果だ。鉄道料金は14年近く据え置かれている。高速道路料金は10年、上水道料金は約9年間料金引き上げがなかった。韓国電力とガス公社の場合、2021~2022年の世界的なエネルギー価格上昇局面でも料金を上げなかったため打撃を大きく受けた。
現政権になり韓国電力とガス公社を中心に公共料金引き上げを推進した。しかし天文学的な負債規模を解消するには進む道は遠い。また、ガス公社を含む残り4社は依然として利益の出ない商売をしている。
鉄道公社と水資源公社の不満の声が大きい。韓国電力の電気料金現実化により原価負担が急増したためだ。韓国の電力消費量1位の公企業である鉄道公社の場合、年間電気料金支出額が2020年の3637億ウォンから今年は6375億ウォンに急増する見通しだ。これに加え鉄道公社は「5兆ウォン以上必要とされる老朽KTX車両の置き換えに向けても料金引き上げが必要だ」という立場だ。
公企業が莫大な負債に苦しめられているが政府や政界の動きは遅い。政府としては公共料金据え置きは消費者物価管理、内需景気振興などに使いやすい手段だ。先月2日に崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官も「電気・ガス・鉄道など中央官庁が管理する公共料金は原価節減と自助努力を通じて引き上げ要因を最大限吸収し上半期中は据え置くようにする」と明らかにした。
政界の立場も変わらない。公共料金引き上げは増税と同じもので人気がない政策だ。大統領選挙を前後して支持率を管理しなければならない政界が積極的に出ない理由だ。
だが公企業が抱えている負債は結局国が保証する事実上の国の借金だ。公企業の財政パンクを料金引き上げで防ごうが税金で防ごうが、結局国民の財布から出て行くお金である点は違いがない。
仁荷(インハ)大学エネルギー資源工学科のシン・ヒョンドン教授は「時間が過ぎるほど利子費用までかかるので爆弾を育てながら先送りしているもの」と懸念する。ソウル科学技術大学エネルギー政策学科の教授は「公共料金決定構造を先進化し政府の介入なく市場状況に合わせて料金を上げたり下げたりできるようにしなければならない」と話した。
公企業5社の負債だけが問題ではない。昨年末基準で公共機関328社の負債は約741兆ウォン、負債比率は180.6%を記録した。