北九州市門司区吉志にある松ケ江南小学校の敷地内の桜の木が4月に伐採され、事前に知らされていなかった住民から批判の声が上がっている。
同校の敷地内には正門前などに計14本の桜があるが、今回伐採されたのは校舎南側の9本とプール脇、校舎北側の計11本。市教委や同校によると1月下旬ごろ、校舎に隣接した土地に住宅が建つことになった。フェンスを越えて隣接地まで伸びている枝があり、業者から建設に支障を来すとして「枝を切ってほしい」と要望があった。
同校では2年ほど前に台風などで倒木の恐れがないかどうか敷地内の樹木の危険度調査を実施。その結果、4本が危険木、経過観察が1本だった。同校では2025、26年度に校舎の外壁工事が予定されて足場を組む必要もあり、これを機会に枝の剪定(せんてい)だけでなく、伐採を決めた。
市教委によると桜はソメイヨシノで卒業生の記念植樹ではない。樹齢は60年以上とみられ、教職員が植えたとされる。
住民によると、満開の時期に突然伐採されたことに驚き、学校側に苦情と説明を申し入れ、市教委と学校側は一部の住民に対して状況を説明。住民からは「いつも見ていた桜がなくなった。どうして事前に説明してくれなかったのか」「関東や関西に出た人にとって故郷の思い出は母校と桜。それを考えてほしかった」などの声が上がった。市教委と学校側は「地元に愛されている桜の木だったことをよく分かっていなかった。事前に説明しなかったことは申し訳ない」と謝罪した。
学校は伐採に至った経緯などを記載した文書を地域に配布し、今後は地域と相談しながら新しい桜の苗木も植える方針だ。【反田昌平】