2025年1月、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故。転落したトラックの運転席から、安否が不明となっていた運転手とみられる遺体が発見された。
運転席部分は下水管部分にあり司法解剖の結果、遺体は損傷が激しいものの、死因につながる外傷は見当たらず死因は判明しなかったという。下水管のなかに充満する硫化水素か溺死かなど、引き続き特定を急いでいる。
運転手が勤務する会社、そして家族からコメントが発表された。
勤務先代表・コメント
「本件事故に関しましては、被害者であるトラックドライバーを救助するため、関係各署へ通報してくださった方、消防隊などが到着するまで交通整理などをしていただいた方、排水自粛などの不便を余儀なくされた近隣住民さま、120万世帯にものぼる下水道排水関連地域の住民の皆さま、企業さま、店舗経営者さまがいらっしゃいます。
このように被害者救済活動に、直接・間接に多大なるご協力を頂いたすべての方に対し、心より謹んで感謝申し上げます。このようなご協力を報道で目にするにつけ、涙が止まりませんでした。
トラックドライバーは必ずきっと生きて帰ってきてくれると信じて、われわれ一同、希望を捨てず今に至りました。
しかし、残念ながら大変無念な結果となってしまいました。
被害者のトラックドライバーは、仕事にまじめで、とても温厚な方でした。
おっちょこちょいな部分もありましたが、それも含め憎めない素直なお人柄であり、運転はその性格のまま、とても優しい運転をされていました。
ご高齢にもかかわらずムードメーカー的存在で、帰社すると事務所内も自然と笑顔に包まれたものでした。
20年以上も働いてくれたのですが、体が動く限り働きたいとの本人の強い要望もあり、会社は将来的にもできる限り雇用を継続していくつもりでおりました。
本件事故は突然にやってきました。被害者のような良い方がなぜこのような悲惨な事故に巻き込まれなければならないのか、心の整理がつきませんでした。
自分を責めることもありました。しかし、時が戻る訳はなく、あの日から被害者は帰ってきません。被害者遺族さまもわれわれ従業員一同も、被害者ドライバーのことを哀傷しきっております。
もう2度と同じ思いはしたくありません」
74歳の運転手の遺族・コメント全文
「事故から3か月以上が経ち、ようやく父が救出されました。道路陥没事故に巻き込まれるなんて、想像すらしていない出来事でした。
落下した車内に取り残された父は、心の強い人だったので、恐怖や苦痛と戦って、力尽きるまで生きて帰りたいと思っていたはずです。それを想うと体が震え、胸が締め付けられる想いです。
体が大きく、何かと頼れる父でした。少し頑固なところもありましたが、いつも笑顔で、とても優しく温厚な性格の父。私たちにとって、かけがえのない存在でした。
孫が生まれ愛情を注ぎ、ひ孫が生まれ更に沢山の愛情を注ぎ、これからの成長をとても楽しみにしていました。
みんなが大好きな父が突如として居なくなってしまった事実を、未だに信じることも、受け止める事も出来ません。まだまだ時間が必要です。今は父の為に、私たちが出来る事を精一杯やり、前に進んで行かなければならないと思っています」
元衆議院議員の宮崎謙介氏はコメントを踏まえ「事件のことはいまでも鮮烈に覚えている。遺族の悲しい思いと代表の方の社会全体に対する配慮というか感謝の思いをみて、本当はこの方も被害者のような立場の方なのに社会に感謝するというのは、大変すばらしい」と発言。
さらに「一番は社会インフラの不整備がもたらした悲惨な事故なので、なぜこれが起こったのかということも含めて、早く原因究明をして、二度とこの悲惨な事故が起きないようにしてもらいたい」と訴えた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
ABEMA TIMES編集部