原作では結ばれた? 予想外な恋の結末
これまで数多くの人気マンガが実写ドラマ化されてきましたが、ドラマの最終回が原作と同じ結末を辿るとは限らないものです。なかには原作の途中までしか映像化されていない作品もあり、続きを原作で追うと、思いがけない展開に驚かされることがあります。この記事では、平成に放送された大ヒットドラマの「その後」を追いました。
【画像】え、この2人が夫婦に? こちらが「ヤンクミ」と結ばれる生徒です
※この記事では『ごくせん』『メイちゃんの執事』『義母と娘のブルース』の結末について触れています。
例えば仲間由紀恵さん主演の『ごくせん』は、誰もが知る人気学園ドラマですが、原作で主人公の「山口久美子」こと「ヤンクミ」が誰と結ばれたのかご存知でしょうか? 本作は任侠集団のお嬢として育ったヤンクミが、問題児ばかりの不良クラスを受け持ち、彼らとぶつかりながら心を通わせていく物語です。
これまで放送された3シリーズのうち、原作に忠実なのは第1シリーズのみ。その第1シリーズでは、教え子のひとり「沢田慎(演:松本潤)」が存在感を放ち、最終的にヤンクミへの恋心をほのめかしていました。残念ながらドラマでは恋仲に発展することはありませんでしたが、マンガ『ごくせん完結編』(作:森本梢子)では相思相愛の関係となります。
作中には沢田がヤンクミにキスを迫るシーンが描かれているほか、完結編に収録された4コママンガにはふたりの子供まで登場し、結婚がほのめかされていました。この事実を知り、妄想を膨らませたドラマファンも少なくなかったはずです。
ファンが望んだ幸せな「その後」が描かれる一方で、切ない結末を迎えた作品もあります。そのひとつが、2009年に実写ドラマ化された『メイちゃんの執事』(作:宮城理子)です。生徒に優秀な執事が付くという、全寮制のお嬢様学校を舞台にしたラブコメディで、ドラマ版ではヒロインの「東雲メイ」を榮倉奈々さん、執事の「柴田理人」を水嶋ヒロさん、弟の「柴田剣人」を佐藤健さんが演じていました。
本作の見どころはメイをめぐる柴田兄弟の三角関係です。多くの視聴者が恋の行方を見守るなか、ドラマ版はメイと理人が内緒のキスを交わすシーンで幕を閉じ、理人エンドを思わせる展開となりました。しかし原作の続編にあたる『メイちゃんの執事DX』では、3人の恋の行方は思わぬ結末を迎えます。
どちらかひとりを選ぶことができず、3人で家族になりたいと願うメイのために、理人は彼女と剣人を結婚させ、自身は執事としてふたりのそばにいるという決断を下すのです。理人派にとってはもやもやの残る結末かもしれませんが、恋愛においても感情を抑え、最後まで執事として尽くし続けた理人の姿に、心打たれた読者も多かったのではないでしょうか。
意外な結末といえば、『義母と娘のブルース』(作:桜沢鈴)のラストも印象的です。本作はバリバリのキャリアウーマンである「亜希子」が、娘を持つ男性と結婚し、母親として奮闘していく姿を描いた物語で、2018年に綾瀬はるかさん主演で実写化されました。
ドラマではスペシャル版を含めて、亜希子と娘「みゆき(演:上白石萌歌)」のおよそ13年間にわたる日々が描かれ、ラストはみゆきの結婚で幕を閉じます。一方で原作では、さらにその後の7年間、つまり20年間にわたるふたりの歩みが描かれ、亜希子の晩年までしっかりと描写されました。
病にかかった亜希子は、残された日々を娘夫婦や孫たちと穏やかに過ごし、最期には先立った夫とともにあの世へ旅立ちます。生前のうちに遺言書から葬式の手配までを済ませていたあたり、仕事人間で用意周到だった亜希子らしい最期でした。
ハララ書房