「皆さんに平和を」「平和が皆さんとともにあるように」アメリカ出身者として初めて教皇に選ばれたレオ14世のこの挨拶は、瞬く間に大きな反響を呼び、特にアメリカ国内では祝賀ムード一色となった。
この歴史的誕生がどのような背景にあり、またどのような影響を与える可能性があるのだろうか。アメリカ在住でフリージャーナリストの津山恵子氏の解説をもとに、そのポイントを振り返る。
アメリカ初の教皇誕生というニュースに、国民の喜びもひとしおだった。同時に、レオ14世の家族のリアクションも注目を集めた。例えば、レオ14世の兄、ルイス・プレボストは、次のように語る。
「枢機卿が『ロ…』と言いかけた瞬間、『ロバートだ!(レオ14世の俗名)』と悟り、飛び上がって、着替えて表に出て、大喜びした」
津山氏もSNSで見たこの光景について「非常にアメリカらしい驚き方」とし、白い装束に身を包んだ教皇という威厳ある姿との対比が面白かったと述べた。
初の米出身教皇誕生!トランプ氏が「相当嫉妬しているのでは」
お祝いムードに包まれる一方、アメリカの政治的立場にどのような影響を及ぼすのかという点も議論になっている。津山氏は以下のように説明した。
「レオ14世が誕生したとき最初に思ったのは、これはトランプさんが相当嫉妬してるだろうなと思った。それから(レオ14世は)清貧の人ということで、 労働者を大切にするとか、移民を大切にするとか、 分断をなくすということもおっしゃっていた。だから、言葉の端々で非常にアンチトランプ的なものをアピールされている」
SNSでは、トランプ支持者たちがレオ14世を「ウォーク教皇」(左翼的な思想を持つ教皇)と揶揄する声も見受けられたという。
さらに、レオ14世がイスラエルとハマスの戦争に関して「ガザにおける即時停戦」を呼びかけた際、具体的にイスラエルの名を挙げなかった点も注目された。津山氏は「意図的な発言かもしれない」と分析しており、今後アメリカ国内での反応が注視されている。
レオ14世は就任後初の説法で、「第三次世界大戦が断片的に起こる状況では、世界の指導者たちに対して『二度と戦争を起こさないでください』と訴えたい」と述べた。このメッセージは、分断しかねない世界情勢の中で、平和の重要性を改めて世界に問いかけるものであった。
果たしてアメリカ出身のトップによる、駆け引きは今後どのようになっていくのか。津山氏は以下のように述べた。
「今の中国に対する関税の問題のように、バチバチになることはないと思う。心の底では面白くない教皇だと思っていても、ニコニコしあって、カトリック信者、ひいては人口の半分以上いるキリスト教信者を支持者として取り込んでいこうと考えていると思う」