東欧のルーマニアで18日、ロシアの干渉疑惑でやり直しになった大統領選の決選投票があり、親欧州連合(EU)派で中道の首都ブカレスト市長、ニクショル・ダン氏(55)が、懐疑派の極右候補を破って初当選を決めた。欧州で右派勢力の伸長が続くなか、ウクライナ支援の継続路線が示された形だ。
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選挙管理当局によると、4日の第1回投票で2位だったダン氏は世論調査での劣勢を覆し、53.60%を得票。中道や左派票を取り込み、「自国第一」を訴える極右野党ルーマニア人統一同盟(AUR)党首のジョージ・シミオン氏(38)に逆転勝利した。ダン氏は支持者らに「政治的な選択に関係なく、ともにルーマニアを築かねばならない」と述べ、分断が広がる国内の融和や行政改革に努めると宣言した。
EUと北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるルーマニアは、ロシアの侵攻を受ける隣国ウクライナに対し、避難民の受け入れを始め、地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与やウクライナ軍パイロットのための訓練施設の提供、穀物の輸出協力など幅広い支援を行ってきた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、SNSで祝意を表明。「両国の戦略的パートナーシップのさらなる発展を楽しみにしている」と投稿した。(ブカレスト=根本晃)
朝日新聞社