韓国の次期大統領として有力視されている共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補が、既存の反米/反日的な外交安保観から脱し、米韓同盟と米韓日協力の重要性を連日強調している。
【写真】ホワイトハウスで米政府関係者と面会した、李在明氏の“参謀”金鉉宗氏
特に米国の関税引き上げに対応するための韓日協力の重要性を強調し、共に民主党内では、韓日FTAや包括的・漸進的環太平洋経済パートナー協定(CPTPP)への加入なども検討されている。
だが、李在明候補の態度変化にも、米国では「信じられない」という雰囲気が依然として支配的だと伝えられている。
■ 大統領候補の“参謀”が訪米した目的
李在明選挙キャンプで外交安保政策を総括している金鉉宗(キム・ヒョンジョン)前大統領府外交安保室2次長の最近の発言は、李在明候補の外交安保政策の“基調変化”を最も確実に示している。
金氏は5月8日、李候補の特使資格で米国・ワシントンを訪問し、トランプ政権の関係者たちと会った。金氏はこの直後、ワシントン駐在の韓国記者らにワシントン訪問について次のように説明した。
「共に民主党側の外交・安保政策を詳しく説明し、米国側から韓国側に期待することが何かについて説明を受けた。対話はうまくいったし、お互いに十分理解し合う機会だった」
「〈韓米同盟は非常に重要であり、できるだけ強化およびアップグレードしなければならず、韓日米協力関係も強化する必要がある〉というのが李在明候補の立場だ」
「李在明候補がいろいろ言及したが、『韓米日協力は持続的にしなければならない』『我々が特に日本とも協力をさらに強化しなければならない』(と述べた)」
「私の個人的な表現だが、現状で韓日は日本の長州藩と薩摩藩が(江戸幕府打倒のために)協力したレベルで協力する必要があると思う」
韓国メディアは、大統領選候補の参謀が米政府に接触するのは非常に異例のことだと報じ、金氏のワシントン訪問は、李候補が当選すれば、韓米日協力基調を継続するかについて懐疑的な雰囲気が漂う米国の与野党をなだめるための訪問だったと分析した。
■ 米国は李在明氏の外交スタンスに今も懐疑的
ところで、文在寅政権時代、つまりはトランプ政権1期目の政権当時、韓日GSOMIAの破棄の先頭に立った金氏を、果たしてトランプ政権は信頼できたのだろうか。
それよりも、「米軍は占領軍」という立場を数次にわたって表明し、「日本は軍事的敵性国」と敵対視し、日米間の連合訓練を「自衛隊の軍靴が韓半島を汚す恐れがある」と韓国人の反日感情を扇動し、尹錫悦(ユン・ソンヨル)前大統領の弾劾(だんがい)案に「日本中心の奇異な外交」という事由を入れるべきだと強く主張した李在明候補が、今になって急に態度を変えて「日米間協力強化」を主張し始めたことを、米国はどう受け止めるだろうか。
これに関して、『朝鮮日報』のワシントン特派員は米国の雰囲気を次のように報道した。
「『李在明氏は数年前には韓国のバーニー・サンダースと呼ばれていましたが、今やドナルド・トランプに比肩されていますね。さまざまな公約にも信頼性に関する問題があり、彼が実際にどのような政策を取ることになるかは見守らなければ分からないでしょう』。最近、ワシントンDCのある政策研究所が主催したイベントで某パネルはこう言った。一般の米国人の視点から見れば、トランプ氏と進歩政治の象徴であるサンダース氏は両立が不可能な2人の人物だ」(朝鮮日報 5月15日記事)
『TV朝鮮』は、李在明候補が繰り返して「(中台の)両岸問題は韓国に関係ない」と言及した部分に対して米安保専門家たちが憂慮を表明したと伝えた。