(文中敬称略)
2024年11月に、メインのパソコンを新調した。 「M4CPU」のMacBook Proである。
その前が2012年モデルのMacBook Proを12年使い続けていたので、最初はあまりの高速動作に目を回すほどだった。が、恐ろしいもので人間は慣れる。
1週間で速いとも思わなくなり、M4CPUの速度は当たり前のものとなった。
以来6カ月。ほぼ元通りの環境が戻ってきたが、たまにしか使わないソフトウエアは、必要になる都度、そろえなくてはならない。
先日、画像処理で写真の階調を整える必要が生じた。確か自分は、Affinity Photoという写真編集ソフトウエアを買って持っていたはず、と、ホームページにアクセスしてダウンロードしようとしたら、Affinity Photoがバージョンアップしており、新たにソフトウエアを購入しなくてはならなかった。
別に買うのがイヤなわけではない。さっと購入する。 むしろ、買えるほうがありがたいのだ。
Affinity Photoに乗り換える前、私はずっと、アドビ(以下Adobe)の定番、フォトショップ(以下Photoshop)を使ってきた。1993年発売のバージョン2.5を、確かバージョン3.0発売直前の大幅割引の時に購入し、そこから必要に応じてバージョンアップしながら利用し続けた。そんなにごりごりと徹底的な画像処理を行うわけでもないので、バージョンアップは最低限。確か3.0は見送って4.0にバージョンアップ、その次は5.0を抜かして6.0に。MacOSをOSXに乗り換えたタイミングで7.0。その後のPhotoshop CS、CS2は見送って、2007年のCS3にバージョンアップ。最後が2012年のCS6だった。
そこでPhotoshopCSが、PhotoshopCCとなり、利用料金が月額いくらのサブスクリプション(定額課金)になった。
●私はAdobeのイヤなお客
この時点で、私はPhotoshopのバージョンアップをやめた。必要な時は絶対必要だが使用頻度が低いので、サブクスクリプションでは割に合わないのだ。私はCS6を使い続けた。CS6が最新のMacOSに非対応になっても、OSのアップデートをせずに使い続けた。その間、PhotoshopCCは、どんどん新しい機能を追加して高機能になっていったが、写真の階調を調節するという自分の用途には関係のない機能ばかりだった。
他のソフトウエアのためにどうしてもOSのアップデートが必要になったタイミングで、私はPhotoshopに別れを告げた。代わって使えそうなソフトを探し、そしてAffinity Photoに行き着いたのである。
気になったので計算してみる。自分がPhotoshop2.5を買ったのは、Photoshop3.0の発売直前だから、多分1994年。仮に1994年1月とする。10万円以上していたものが、2 万5000円になる大幅値引きがあったものだから、それっとばかりに買ったのだった。MacOSをmacOS Mojave(バージョン番号10.14)から、macOS Catalina(バージョン番号10.15)にアップデートして、PhotoshopCS6の使用を停止したのが2023年12月だった(本当にぎりぎりまでmacOS Mojaveの利用を引っ張ったのである)から、Photoshopの利用期間は実に31年ちょうど。その間に1回2万5000円(消費税込みだったか別だったかは忘れてしまったのでとりあえず含めないことにする)のバージョンアップを5回。最初の購入料金も含めて、Photoshopに突っ込んだ金額はちょうど15万円。31年、すなわち372カ月で割って、1カ月あたり403円。
賢くPhotoshopを使い倒したと言えるのだろう。逆にAdobeにすればイヤなお客ということになろうか。申し訳ない。
現在、サブスクリプションに移行したPhotoshopの利用料金は月額3280円。年間一括払い3万4689円で、月額2890円。グラフィックのプロで、Photoshopなしには仕事ができないならば全然安いと言えるが、今の私にはそうではない。どんどん増え続けているPhotoshopのAI(人工知能)を利用した新機能も、今の自分には使い道がない。
Affinity Photoは、私にとって機能は十分で、購入価格は6590円であった。わずか16カ月で、31年使ったPhotoshopよりもコストパフォーマンスは良くなる計算である。
このほかにもフリーウエアで、高機能な画像処理ソフトはいくつかあって、それも試してみたいなとは思っているのだが、それはともかくとして……。
ここまで書いてきて今さらなのだが、私はサブスクリプションというものに若干の疑念を持っている。