情報過多と「情報不安」を乗り越える:元Google社員が実践する集中力向上戦略

日常生活の99%がスマートフォンやテレビ、ゴシップといった無駄な情報で溢れかえっていると感じていませんか。効率を追求し、生産性を上げても、それは他者の期待に応えるためのもので、真に自分のためになっているとは限りません。「情報依存のプロ」であるGoogleとYouTube出身の著者が提唱する、自分だけの時間を取り戻すための「完璧な習慣」を紹介します。世界で30万部を突破したベストセラー『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』に基づき、現代人の「情報疲れ」を解消し、集中力を高める秘訣を解説します。

現代人の「情報不安」の正体とその代償

「流れてくる情報は全部押さえておかないと不安になる……」。朝のニュース速報、スマートフォンのプッシュ通知、SNSの最新投稿、社内チャットで流れてくるリンクの数々。知っていないと置いていかれるような気がして、仕事の合間にもついついタイムラインを更新してしまう。しかし、一日の終わりに振り返ると「結局、肝心な仕事は全く進んでいない」と虚しさを感じた経験はないでしょうか。

「なんでも知っていなければならない」「無知だと思われたくない」という感情は誰しもが抱くものです。そのため、現代人は無意識のうちに以下のような行動をとってしまいがちです。重要度も即時性もバラバラな情報を同じ優先度で受信し、「知らないことは怠慢だ」と感じて常に情報と接続することを自分に強いる。その結果、集中力が寸断され、思考の深さよりも“反応の速さ”が評価される環境に陥ってしまいます。“情報を取りこぼさない努力”は一見ストイックに見えますが、実際には仕事の質を低下させ、時間と感情エネルギーを無駄に浪費する最短ルートとなるのです。

元Google社員が実践する「ニュースを見ない」戦略

このような「情報疲れ」から脱却するため、元Google社員が実践していたのは、きわめてシンプルな「ニュースを見ない」という戦術でした。ほとんどのテレビニュースは、不安を煽り、視聴を継続させるように設計されています。そうした情報に翻弄されるのをやめ、代わりに「1日1回」または「1週間に1回」など、自分で決めた頻度でまとめてニュースを読む習慣を身につけることが重要です。“リアルタイムで追う”のをやめ、“まとめて読む”ことを習慣にするポイントは、自分の意思で情報を遮断するのではなく、「いつ」「どのくらいの量を見るか」を事前に決め、「情報が入ってこない状態」を仕組みとして作り出すことにあります。

デジタルデバイスに囲まれ情報過多に疲弊する現代人のイメージデジタルデバイスに囲まれ情報過多に疲弊する現代人のイメージ

「速さ」よりも「深さ」へ:集中力と生産性を高める思考法

真に“仕事ができる人”は、成果に関係のない情報を躊躇なく切り捨てる努力をしています。重要なのは、誰よりも早く情報を知ることではなく、自分の頭で深く考えることです。この思考の切り替えこそが、仕事の質とスピードを同時に向上させます。リアルタイムで情報を追うことは刺激的で、「やっている感」や「学んでいる感」を得られるかもしれませんが、「見ない」という選択をすることで、流れてくるニュースに感情を乱されることなく、静かで力強い日常を取り戻すことができます。

情報過多の時代において、自ら情報をコントロールし、思考の「深さ」を追求する習慣は、ストレスを軽減し、真の集中力と生産性をもたらす鍵となるでしょう。


参考文献

  • ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』ダイヤモンド社